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山中慎介が分析する、判定が議論になった那須川天心の試合 ターゲットとなる王者・堤聖也と比嘉大吾の激闘も語った (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――天心選手は、モロニー選手に対してどんな対策をしていたのでしょうか?

「今回、天心のスパーリングを見ましたが、しっかり対策していたと思います。モロニー以上にガンガン前に出る選手を相手にスパーをして、そのなかでしっかり動ける状態を作っていました。その経験が試合でも生かされていましたね」

――モロニー選手が前に出て来ることも想定した練習をしていたと。

「そうですね。徹底的に練習していました。足を止めての打ち合いもそう。長いラウンドのスパーでは、パートナーが2、3人入れ替わる形でやっていました。その相手は、世界ランキング上位の選手たち。それを週4日間こなしていましたね」

【天心が狙うのはWBA王者の堤聖也か】

――天心選手は、立ち上がりは不安でしたが、うまく立て直しましたね。

「1ラウンドで右をもらって効かされた時、セコンドからの『落ち着け』という指示もちゃんと聞こえていたと思います。4ラウンドあたりから天心も足を使い始めて、リズムが出てきましたね。"らしい"動きが出て、流れが変わりました」

――足を止めての打ち合いや押し合いのなかで、あらためて体の強さも見えたように感じます。

「キックボクシング出身ならではの足腰の強さがありますね。押し負けないフィジカルがあって、近距離での強さも見せた。打たれ強さも証明した試合だったと思います」

――6ラウンドのピンチでは、尻餅をつきそうになっていました。

「それでもギリギリ耐えて、すぐに持ち直しました。体幹の強さ、ボディーバランスのよさが出たと思います」

――モロニー選手のプレスが強いなかで、天心選手は効かせるパンチを入れるのは難しかった?

「モロニーのプレスで天心が下がり、上体が少し高くなって前足に体重が乗り切らない状態になっていましたね。下がりながら前の手でタイミングよくアッパーをねじ込んでいましたが、効かせるというよりは、相手を止めるためのパンチという感じでした」

――新たな引き出しも見せたプロボクシングでの6戦目でしたが、天心選手がどのタイミングで世界に挑むのかが気になるところです。

「世界王座を狙う以上は、バンタム級4人の日本人の世界王者と同じ目線で見られることになりますから、"まだ6戦"とは言っていられなくなりましたね」

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