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西村修と藤波辰爾「無我」を巡る問題の真相を元東スポ記者が明かす 西村だけが悪者になるのは「一方的な見方」 (2ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi

――倍賞鉄夫さんは、アントニオ猪木さんの元妻・倍賞美津子さんの弟さんでしたね。

柴田:倍賞さんはわれわれにも優しい人でしたね。新日本のフロントの皆さんは、メディア関係者にも気を遣ってくれる人ばかりでしたが、倍賞さんはさりげなく心配りしてくれました。

 猪木さんがアントン・ハイセル(※)の株を顔見知りに勧めていた時も、後から倍賞さんが追いかけて「やめたほうがいいよ」と止めていましたよ。「アントントレーディングのほうが......」と言っていたのには苦笑しましたけどね。トレーディングは、タバスコなどの会社でした。

(※)猪木がブラジルで興したリサイクル事業。サトウキビの搾りかすを牛の飼料として活用することで、食糧不足、環境問題を解決する目的で設立した会社。

「無我」を商標登録しようという話も、倍賞さんのひと言がなければ手もつけなかったでしょうね。「西村さんが藤波さんから無我を奪った」と思っている人もいますけど、それは一方的な見方だと思います。

――「無我」に関しては、西村さんを非難する声も耳にします。

柴田 :どこでそういう話になったのかはわからないけど、先ほども言ったように西村さんが独断で商標登録したわけではないんです。藤波さんも承知の話だし、商標登録の件については非難してないじゃないですか。

 特許庁も時間をかけていろいろ調査するから、申請したって通らないこともある。どういう経緯で申請したか詳しくチェックするし、代表者の藤波さんではなく西村さんが申請した理由も、弁理士の指導のもとで上申してそれが認められています。

 だけど、西村さんが無我を奪ったという話がワーッと広がって一気に悪者になってしまった。僕は西村さんに「インタビューなどで、きちんと説明したほうがいいのでは?」と言ったんだけどしなかった。そこには理由があったんです。

――どういう理由ですか?

柴田:まだ知的財産という概念が薄かった時代で、西村さんは銀行に紹介されて弁理士事務所に依頼し、いろんな書類を書かなきゃいけなかった。役所関係の手続きに強い西村さんの友人も手伝っていたけど、"坊主憎けりゃ袈裟まで憎い"なのか、暴走したファンが、その友人に「西村を応援するな。殺してやる」と、ボイスチェンジャーで声色を変えて電話してきたそうなんです。

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