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ムエタイ界の至宝・吉成名高がONE初参戦 「新時代を切り拓く」 (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 安川結子●撮影 photo by Yasukawa Yuko

――ONEは「KOボーナス」がありますが、意識されますか?

「タイ人はハングリー精神が強くて、お金を稼ぐためにムエタイをやっている選手も多いので、KOボーナスを狙って、ガンガン前に出て打ち合いに行くスタイルに変える選手もいます。でも自分は、今までのスタイルでKO率が6割を超えています。今までどおりのスタイルを貫けば、自然とボーナスも付いてくると思います」

――対戦相手のラック・エラワン選手(元ルンピニースタジアム・ライトフライ級王者)について、どんな印象を持っていますか?

「5~6年前から名前は知っていましたし、ルンピニースタジアムのチャンピオンということもあって、『いつかやるだろうな』と意識していた選手です。過去に2度、試合が決まりかけてから流れてしまったのですが、ついに実現することになったので楽しみですね」

――直近では、去年12月の『RWS JAPAN』で一度組まれた試合ですね。

「そうですね。ラック選手の家庭の事情で流れましたが、その試合(ラジャダムナンスタジアム認定スーパーフライ級・王座防衛戦)は、自分がチャンピオンで、挑戦者としてラック選手を迎え撃つ形でした。今回のONEでは、僕が青コーナーになります。ラック選手は経験豊富で、ONEでも戦っていてルールにも慣れています。そういった意味では、僕が挑戦者側として見られているかもしれません。でも僕は、ムエタイのこの階級では、自分が王者だという意識があります。だから、青コーナーというのはあまり気にしていません」

――吉成選手が青コーナーに立つのは、レアじゃないですか?

「そうですね、いつが最後かは思い出せないですが、かなり久々だと思います」

――ラック選手は、左右のフックを振ってくる印象がありますが、ファイトスタイルをどう見ていますか?

「パンチを思い切り振ってくるし、軌道が独特です。それから、タイミングをずらして打ってくる感じがあって、反応して避けたつもりでも、パンチが遅れて飛んでくる。それをもらって倒されている選手も多いので、そこは警戒しています。1ラウンドから集中力を切らさず、最大3ラウンド、9分間を戦い切ろうと思っています」

――ONEのチャトリ代表が、吉成選手の階級であるアトム級ムエタイ王座の新設を検討しているとのことですが、もし実現すれば、今後の主戦場も変わるのではないでしょうか?

「はい。今回はONE初戦として目の前の試合に集中していますが、やはりベルトが設立されるとなると意識はしますね」

――まずは、ラック戦の勝利ですね。

「この試合の結果次第で、今後の展開も変わってくると思います。今は目の前の試合に"全集中"して、しっかり結果を出したいと思います」

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