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井上尚弥の圧勝劇を元世界チャンピオン・田口良一が分析 パンチをもらう場面もあったが「完全無欠なんて酷」 (4ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text by Soichi Hayashi Sr.

 そのタイソンは、「あのモンスターは、パッキャオ以上の逸材だ」と発言している。

 田口も言う。

「今、井上くんはマニー・パッキャオと比較されていますよね。パッキャオが6階級で、井上くんが4階級を制覇、統一王座は井上くんが2階級、パッキャオはゼロ。最初に世界タイトルを獲得した年齢は井上くんが20歳で、パッキャオは19歳。階級を上げるリスクはありますが、パッキャオでさえ、井上くんほど非の打ち所がない戦績は打ち立てていないと自分は感じるんです。対戦相手をここまでパーフェクトに下している点では、類を見ない存在ですよね」

 無双を続けるモンスターも、この4月に32歳になる。

「一般的に述べるなら、どうしても疲れが抜けなくなってくる年齢です。完全にオフの日を作ったり、抜く時に抜くメリハリをつけることが大切だと思います。まぁ、彼ならうまくやるでしょう。レブロンも40歳ですが第一線で活躍していますし、井上くんも現状を維持できる、と見ます。このまま頑張ってほしいですね。

 世界にはスーパーバンタム級という118~122パウンド (53.524~55.338キロ)の軽いクラスを認めない人もいるでしょう。でも、このまま勝ち続けてそういう声をかき消してほしいですね。世界中の誰もが、井上くんを認めざるを得ないチャンピオンになってもらいたいです」

 井上尚弥は、2025年をどのように彩るか。

【プロフィール】

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◆田口良一(たぐち・りょういち)

1986年12月1日生まれ、東京都出身。2006年7月にプロデビューし、2007年にライトフライ級の全日本新人王に輝く。2013年4月、同級の日本王座を獲得。2014年12月にWBAライトフライ級王座、2017年12月、メリンド(フィリピン)との統一戦を制してIBF同級王座を獲得した。2019年12月に現役を引退。プロ戦績は27勝(12KO)4敗2分け。

著者プロフィール

  • 林壮一

    林壮一 (はやし・そういち)

    1969年生まれ。ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するもケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。ネバダ州立大学リノ校、東京大学大学院情報学環教育部にてジャーナリズムを学ぶ。アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(以上、光文社電子書籍)、『神様のリング』『進め! サムライブルー 世の中への扉』『ほめて伸ばすコーチング』(以上、講談社)などがある。

【写真】雪平莉左フォトギャラリー

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