井上尚弥の圧勝劇を元世界チャンピオン・田口良一が分析 パンチをもらう場面もあったが「完全無欠なんて酷」 (3ページ目)
【非の打ち所がない戦績はパッキャオ以上?】
カウント・ナインまで数えたレフェリーだったが、右腕を振って試合終了を告げた。公式ノックアウトタイムは、4ラウンド2分25秒。
本来、井上は昨年のクリスマスイブに、IBF/WBOの指名挑戦者であるオーストラリア人、サム・グッドマンとの防衛戦を行なうはずだった。田口は同ファイトが決まった頃、「序盤、井上くんが様子を見て、中盤にノックアウトする」と読んでおり、「井上くんは、どんなパンチでも相手を倒せますよね。今回は、顔面へのパンチでフィニッシュするように思います」と話していた。
試合後はサイン入りTシャツを観客席に投げ入れるパフォーマンスも photo by Yanagawa Go!この記事に関連する写真を見る しかし、グッドマンは2度にわたって左目の上を負傷し、リング上がることができなくなる。キムは代役を引き受け、一生に一度のチャンスとして井上に挑んだのだ。井上 vs. キム戦は、田口がグッドマン戦で予想した内容と、ほぼ同じだった。IBFとWBOで1位にランクされる挑戦者だろうが、キムのような下位ランカーだろうが、モンスターの敵ではない。
「キム選手がオファーを受けなければ興行が成立しなかったので、感謝しかないですね。彼もあの井上尚弥と戦ったことが、将来の糧となるかもしれません」
田口自身も、モンスターとのファイトを経験したからこそ世界王座に就けた、と折に触れて語る。
「井上くんは、パウンド・フォー・パウンド1位を争っているトップファイター。そこまでの境地に辿り着いているチャンピオンとの対戦を希望しても、戦えない人がほとんどです。そういう意味では、キム選手には運があったのかな、という気がします。自分も井上尚弥と戦ったことを誇りに思っていますし、彼との試合があったからこそ世界チャンピオンになれました。
井上くんは日本史上最高のボクサーだと思います。自分はNBAの大ファンですが、バスケットボールの世界で井上くんを表すなら、マイケル・ジョーダンかレブロン・ジェームズのレベルですね。人によってさまざまな意見があるでしょうが、ボクシング界なら、マイク・タイソン、フロイド・メイウェザー・ジュニアに勝るとも劣らないスーパーチャンピオンですよ」
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