杉山しずかが総合格闘技16年目で掴んだ初のベルト 「やめたら楽になるのに」と思いながら戦い続けたワケ (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

――杉山選手は、どんなプランで臨んだのでしょうか?

「打撃で勝負する私に対して、組みにくる重田選手という展開を予想していたので、その通りでした。壁際の攻防もいっぱい練習していましたし、重田選手の過去の試合を見て『首を狙おう』と思っていたんです」

――実際に金網際、片足タックルのカウンターでニンジャチョークがキレイに入りました。

「もしかしたら返されるかもしれないので、けっこう丁寧に入ったつもりです。ダースチョークも得意ですが、ニンジャチョークは逃げられることが多いんですよ。セットする前だと仰向けになられて逃げられてしまうので、初手でニンジャ、逃げられた場合はダースチョーク、その次はアナコンダと、いくつかの手を用意していました」

――勝利後、金網に登って喜ぶ姿が印象的でした。

「『あぁ......やってきてよかった。私にもできたんだ』みたいな感じでした」

【もっと『かっこいい』と思われたい】

来春には防衛戦を予定している photo by 田中亘来春には防衛戦を予定している photo by 田中亘この記事に関連する写真を見る

――客席で見ていたお子さんも泣いていましたが、ご家族や周囲の方の反応はいかがでしたか?

「ベルトを見せるためにやってきたわけでではないんですが、みんなすごく喜んでくれました。ただ、重田選手がどうこうではなく、競って勝ったわけではないのでちょっと心配です。次の試合で(同じような展開が)自分に降りかかるかもしれないなと思っています」

――子育てとの両立はいかがですか?

「できていないところも多いですね。私たち夫婦は、このジム(UNITED GYM TOKYO/2021年7月に夫の中村K太郎とオープン)で働いたり、他の仕事もあるとどうしても夜遅くなるので、K太郎さんのお母さんが週2回来てくれて、食事、寝かしつけ、習っている柔道の送迎などを手伝ってくれています。喜んでやってくれているので本当に助かっていますね。でも、家庭の味はなかなか作れていないなと。憧れていたお母さん像とは少し違うな、と感じることはありますね」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る