齋藤彰俊が引退を決意した、同志・潮崎豪との激闘 最後の試合では「ノアとは何か? を伝えたい」 (3ページ目)
【15年前と同じ天井を見て思ったこと】
試合直前の腰の負傷も天国からの「激励」と受け止め、逆に喜びを感じて気合が高まった。試合は、齋藤が持つ「世界ヘビー級王座」に潮崎が挑戦。2009年の三沢の「追悼興行」では、同じ武道館で齋藤が潮崎に挑戦してから15年。ベルトは異なるが、今度は齋藤が潮崎を挑戦者として迎えた。
「今までGHCで2回、シオに挑戦しています。ただ、自分の思いをシオに本当に伝えるためには、彼が挑戦者であるべきと思いました」
齋藤は今年1月、潮崎が結成した「TEAM NOAH」に加入し、名実共に同志となっていた。志を同じくする両雄の試合は15年前と同じ、いや、それ以上の激闘となった。互いの技と思いをぶつけあった攻防の末、剛腕ラリアットで潮崎が勝利した。
「2009年の武道館で負けた時は、天井を見ていろいろと思うことがありました。あれから15年を経た7月の試合では、天井をシオに見せて自分が感じたことをシオに感じてもらおうと思っていました。でも、また自分が天井を見ちゃいましたね」
運命を共有してきた潮崎に再び武道館で敗れた。15年前と同じ天井を見た時、齋藤のなかにある感情が込み上げてきた。そしてリング上でマイクを持ち、「2009年6月13日、あの広島の地で心に誓ったこと、約束したこと、俺なりに果たしたのかなと思う。だから引退を決意しました」と表明した。
「あの時にふと思ったのは、武道館で意味のある試合をシオと戦って『俺は約束を守れたんじゃないかな』ということ。本当に突然、沸き上がった感情で、事前にTEAM NOAHの選手にも伝えていなかったので、全員が唖然としていましたね。でも、それこそがプロレスだと思います」
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