平本蓮が目の前から消えた? リングアナ歴25年の太田真一郎が明かす『超RIZIN.3』コール秘話 (3ページ目)
――選手入場の際、太田さんはひとり目の選手をコールしたあと、ニュートラルコーナーに戻りますよね。あの時は何をされているんですか?
太田 基本は「両選手とも頑張れ」という気持ちで入場を見ていますね。リングまで猛ダッシュするキム・スーチョル(初代ONE世界バンタム級王者)を見て「入場早い!」と驚いたり、「タイ・エマリー(オーストラリアの女子格闘家)のダンス長いなぁ。もうそろそろ入ってきていいよ」と思ったりもしています(笑)。
【那須川天心vs武尊も緊張】
――太田さんは、2002年に国立競技場で行なわれた『Dynamite!』(入場者数9万1107人)、東京ドームでの『THE MATCH2022』(入場者数5万6399人)も経験しています。今回の『超RIZIN.3』の入場者数は4万8117人でしたが、そのど真ん中に立っていかがでしたか?
太田 『THE MATCH2022』も空気感は異様でしたが、今回のメインの朝倉選手と平本選手の試合で、平本選手が入場してくる時には青コーナー側が、朝倉選手の時は赤コーナー側が揺れて大声援が起こっていました。その様子を見て、背中にすっと冷たいものが走りましたね。「すごいところに立っているんだな」と。
ただ、4万8117人のお客さんの顔は、リング上からは見えないんです。自分にスポットライトが当たっていて、客席のほうは真っ暗。そして「ただいまより......」と話し始めて、選手に向かってコールするだけですから、意外と気にならないんです。昔、後楽園ホールで『ハッスル』のコールをした時は観客の顔がよく見えて......観客数は(RIZINなどに比べると)少ないですが、あの時は緊張で震えましたね。
――お客さんがよく見えるから後楽園ホールは緊張する、というのは、選手からもよく聞きます。
太田 ただ、先ほど、大きい会場のほうがお客さんが見えなくて「気にならない」と言いましたが、『THE MATCH2022』のメインイベント、那須川天心vs武尊は緊張しました。東京ドームがあんなに異様な盛り上がりを見せる試合は、本当に稀だと思います。「これは間違えられない」という思いが、いつもよりも強かったですね。あの試合のコールをできたのは、すごく幸せです。
(中編:RIZINのリハーサルで出場選手の名を呼ばない理由>>)
【プロフィール】
■太田真一郎(おおた・しんいちろう)
3月20日、神奈川県生まれ。青二プロダクション所属。
テレビ、アニメ、ラジオ、そしてリングアナウンサーとして、さまざまなジャンルで活躍。テレビでは『スッキリ!!』『サンデー・ジャポン』『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』など数多くのテレビ番組のナレーションを担当。アニメ『キン肉マン 完璧超人始祖編』ではアナウンサー役を務めている。リングアナウンサーとしても約25年間にわたりPRIDE、DREAM、RIZINなどの格闘技イベントを盛り上げ、選手やファンの心に響くコールを届け続けている。
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