東京女子プロレスの鈴芽が語る、遠藤有栖と築き上げた絆 「勇気をあげられるレスラーになりたい」 (2ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

 初めて心が折れそうになった。応援してくれるファンに申し訳なかった。それでもまた頑張れたのは、ファンの存在があったからだ。

「負ける度に『本当にごめん』って思うけど、みんな一緒になって悲しんだり悔しがったりしてくれるから、『ごめん』って思いながらもちょっと嬉しくて。何度ダメでも、何度でも期待して背中を押してくれるから、心を折っている場合じゃない。みんなも一緒に闘ってくれていると感じます」

【初の海外興行「東京女子を好きでいてくれる人が、世界中にいる!」】

 2023年3月18日、有明コロシアム大会にて、タッグパートナー遠藤有栖と2度目のシングルが行なわれた。2年前の有栖デビュー戦でのシングルとはまるで違う。スピーディーでワクワクするような、「でじもん」らしい攻防。ふたり一緒だったからこそ、ここまで成長できたのだろう。

 結果は、鈴芽が必殺技リング・ア・ベルで勝利。試合後、ふたりは抱き合いながら言葉を交わした。何を話していたのだろうか。

「『有栖と(一緒に闘って)ベルトがほしい』って言いました。私はファンとしてプロレスを観ていたから、ベルトは特別なものという意識はずっとあったんですけど、本当に心からベルトがほしいと思ったのはこの試合がきっかけですね」

 3月31日(アメリカ太平洋標準時)、東京女子プロレスはカリフォルニア州・ロサンゼルス・グローブシアターにて、選抜メンバーによる初の海外興行を開催。鈴芽は有栖と組み、角田奈穂&乃蒼ヒカリ組と対戦した。

「でじもん」のチャント、SUZUMEコール、紙テープ......。初めての海外で怯えていた鈴芽だったが、現地ファンの熱気溢れる応援を受けて「全部吹き飛んだ」という。

「『東京女子をこんなに好きでいてくれる人が、世界中にいるんだ!』って感激しました。SNSとかコメントで知ってはいたけど、実際にあれだけの人数を目の当たりにして、すごく嬉しかった。海外で活躍してきた先輩たちがいてこそだと思うので、本当にすごい人たちだなと思います」

 紙テープは日本のものより、太くて柔らかい。船の出港で使うものだと聞いて、記念に持って帰ってきたという。有栖の紙テープがゼブラ柄になっており、それ以来、日本でも紙テープにペンで柄を描いたり、「でじもん」のスタンプを押したり、工夫してくれるファンが増えた。ただでさえ紙テープを巻くのは大変な作業なのに、ファンには感謝してもしきれないという。

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