鈴芽は地元の工場から東京女子プロレスのリングへ「こんなに全力で生きている世界があるんだ」

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

■『今こそ女子プロレス!』vol.21

鈴芽インタビュー 前編

「あなたのベストバウトは?」――プロレスラーへのインタビューでよくされる質問だが、鈴芽にはあえて聞く必要がないと思った。彼女にとって、常に最新の試合がベストバウトであるように感じられるからだ。ベストバウトを常に更新し続ける、稀有なレスラーである。

自らのプロレスラー人生を振り返った東京女子プロレスの鈴芽 photo by 林ユバ自らのプロレスラー人生を振り返った東京女子プロレスの鈴芽 photo by 林ユバこの記事に関連する写真を見る

 プリンセスタッグ王者、鈴芽。身長152cmという小柄な体躯を活かしたスピードと躍動感溢れるファイトスタイルで、観る者を魅了してやまない。

 鈴芽(すずめ)というリングネームには、「芽が出て育っていく」イメージと「スズメバチみたいに強く」という意味が込められている。自らのイメージカラーである黄色に合わせたモチーフを考えた時、"可愛い"ではなく、"カッコよくて強い"印象にするため、針や毒のあるイメージにしようと思ったという。

 得意技のドロップキックは打点が高く、まさにスズメバチのように相手を鋭く突き刺す。しかし線が細いため、パワーファイターには弾き返されてしまうこともある。プロレスラーとしての道を歩み始めた時から、彼女は己の体の小ささと向き合わなければならなかった。

「体格的に、捕まると不利なんですよ。捕まらないためには動き続けなくちゃいけないけど、それって難しくて。でも考えることをやめなければ、まだ勝ち筋があると思う。とにかく思考を止めないこと。『諦めない』に近いのかもしれません」

"技巧派"であり、"頭脳派"――。鈴芽の半生を追った。

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プロフィール

  • 尾崎ムギ子

    尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)

    1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。

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