鈴芽は地元の工場から東京女子プロレスのリングへ「こんなに全力で生きている世界があるんだ」 (5ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

 4月9日、後楽園ホール大会にて、坂崎ユカ&瑞希(マジカルシュガーラビッツ。以下、マジラビ)の持つプリンセスタッグ王座に挑戦。有栖とのタッグ名を「でいじーもんきー」(以下、でじもん)に決め、気合を入れて臨んだ。

「マジラビさんは東京女子らしさが一番詰まっているタッグだと、当時も今も思っています。そんなふたりが持っているベルトだからこそめちゃめちゃキラキラして見えたし、私たちもその景色が見たいと思った。チャレンジマッチのつもりは全然なかったです」

 しかし、マジラビにはあと一歩のところで及ばなかった。有栖は「タッグ力の差だった」と分析していたが、鈴芽もやはりタッグ力は大事だと考えているという。タッグ力とは、有栖曰く"絆"。長い月日をかけて共に闘うことで、タッグチームは完成度を高めていく。

 本来、鈴芽はタッグよりもシングルのほうが好きだという。シングルは目の前の相手のことだけを考えればいいが、タッグはリング全体を見なければならず、苦手意識があった。しかし有栖とタッグを組み始め、「私がしっかりしなきゃ!」という思いから周りをよく見るようになり、タッグで闘う方法を自然と身につけた。

 そのうちに有栖がメキメキと成長し、次第に有栖のことを見ようとしなくても「なんか息が合う」という状態に。タッグで闘うことの楽しさを覚えていく。

(後編:遠藤有栖と築き上げた絆 「勇気をあげられるレスラーになりたい」>>)

【プロフィール】
鈴芽(すずめ)

1998年11月27日、茨城県生まれ。高校卒業後、工場の事務員として働いていたが、辰巳リカに憧れて東京女子プロレスに入門。2019年8月25日、後楽園ホールでデビュー(鈴芽&舞海魅星vs. 中島翔子&里歩)。2024年2月10日、遠藤有栖とのタッグ・でいじーもんきーで「第4回"ふたりはプリンセス"Max Heart トーナメント」初優勝。3月31日、両国国技館大会にて、水波綾&愛野ユキが持つプリンセスタッグ王座にでいじーもんきーで挑戦し、勝利。第16代王者となる。152cm。

【大会情報】
■大会名:WRESTLE PRINCESS V
■日時:2024年9月22日(日) 開場13:00 開始14:00
■会場:千葉・幕張メッセ国際展示場展示ホール6
■対戦カード:プリンセスタッグ選手権試合
<王者組>鈴芽&遠藤有栖 vs 山下実優&伊藤麻希<挑戦者組>
※第16代王者組3度目の防衛戦。

■詳細はこちら>>

著者プロフィール

  • 尾崎ムギ子

    尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)

    1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。

【写真】東京女子プロレス「でじもん」鈴芽フォトギャラリー

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