ケンコバが語る越中詩郎45周年セレモニー前に起きた事件 天龍源一郎や藤波辰爾らとの会話で大困惑 (3ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji

【藤波辰爾のひと言で急な予定変更】

――レジェンドのみなさんの個性が存分に発揮された、貴重なお話ですね。その後のセレモニーでは、中学時代の同窓生の方々、セミファイナルに特別参戦した藤波辰爾さんも登場して花束を贈呈され、それぞれの方が思いを込めたメッセージを送りました。

「実はですね......あのセレモニー、最初は『マイクなしで』っていう話だったんですよ」

――ゲストからのメッセージは予定されていなかったんですか!

「その経緯は把握していないんですけど、もしかしたら、天龍さんが照れ屋さんなので『話さなくても越中に思いは伝わる。プロレスラーには言葉よりも大切なものがあるし、マイクはなしでいきましょう』と言ったのかもしれません。ところが、藤波さんの登場ですべてが変わります」

――何が起きたんですか?

「天龍さん、カブキさん、小橋さんと俺がスタンバイしていたところに、セミファイナルを終えた藤波さんがシャワーを浴びて駆けつけてきました。それで、『セレモニーではみんな、ひと言あるんでしょ? そういうの、いいよね』と元気ハツラツに言うんですよ。

 俺を含めて、みなさんマイクはないものだと思っていましたから、一瞬ポカ~ンとなって。それでも藤波さんは、お構いなしに『小橋くんは、何を言うの?』と声をかけた。"ドラゴン"の勢いに押されたのか、小橋さんは、『は、はい』としどろもどろになっていましたね」

――予想外のハプニングですね。

「本当にそうですね。ただ、集ったレジェンドのなかで、藤波さんだけが新日本プロレス出身で、ほかの3人は全日本プロレス出身じゃないですか。そういう違いからか、藤波さんが突然マイクの話をした時に、その場に微妙な空気が流れたんです。

 その時、『さすがだな』と思ったのは、天龍さんの娘・紋奈さん。苦笑いする天龍さんに対して『大将、やるしかありませんよ!』と声をかけて、雰囲気を変えてくれたんです。それで急転直下、『みんなでマイクをやろう』と一致団結しました。俺の立場からしたら、みなさんの意向を受け入れるのは当然のこと。急遽、メッセージを送ることになったんですよ」

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