後楽園ホール開催目前! 女子プロレス我闘雲舞の代表、さくらえみが振り返るタイでの旗揚げから現在

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

■『今こそ女子プロレス!』vol.20

さくらえみ インタビュー 前編

「8月31日、場所は水道橋! 8年ぶりの後楽園ホール!」――。

 プロレスリング我闘雲舞(ガトームーブ)代表のさくらえみがそう声を張り上げると、客席からは悲鳴にも似た大歓声が上がった。しかし観客以上に喜びを露わにしたのは、リング上の選手たち。飛び上がる者、リングを叩く者、泣き喚く者......。普段、キャパ40人の"世界で一番小さなプロレス会場"で試合をしている彼女たちにとって、客席数1,400の"格闘技の聖地"は、「いつか、いつか」と夢見ていた場所なのだ。

女子プロレス団体「我闘雲舞」代表のさくらえみ photo by 林ユバ女子プロレス団体「我闘雲舞」代表のさくらえみ photo by 林ユバこの記事に関連する写真を見る

 現在の所属選手は10人。8年前の後楽園ホール大会を経験しているのは、そのうちのたったふたり。何もかもが手探りのなか、彼女たちの闘いは刻一刻と迫っている。

 7月末、取材場所に現われたさくらに「みなさん、気合が入ってますね」と言うと、「本当に社運がかかってます。団体を大きくするためにやるのに、なくなる可能性もあるっていう。博打みたいな団体ですよ」と苦笑する。しかしその目の輝きからは、確かな自信が伺える。

 さくらえみに、これまでの道のり、そしてこれからの我闘雲舞について聞いた。

■「日本ではこの先が見つからない」とタイで団体を旗揚げ

――2012年1月、アイスリボンを退団し、2月にタイに渡航されました。そこから我闘雲舞を旗揚げするまでの経緯を教えてください。

さくらえみ(以下、さくら):日本でプロレスをやっていても、この先が見つからないなと思ったんです。プロレス団体をいくつか渡り歩いて、ベルトも獲ったし、育成もしたし、「私がやれることはほかの人でもできるから、やらなくてもいっか」というところですね。

――なぜタイにしたんですか?

さくら:国外に行きたいと思い、実現可能な国を探しました。親日国家で、わりと距離が近くて、女の子たちが頑張るパワーがある国ということでタイにしたんです。配信をやっていた時にタイのある男の子が「応援してるよ」というコメントをしてくれて、その子を訪ねて行こうと思ったのが最初のきっかけですね。彼と一緒に我闘雲舞を始めました。

――普通のファンの方ですか?

さくら:はい、PUMIくんという大学生です。その子に会いに行けば何かが始まるかなと思ったんですよね。最終的に今、その子がタイのプロレスを牽引しています。

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