WWEに門前払い→トリプルHも絶賛でオファー増加 里村明衣子が振り返る海外挑戦と、日本女子プロレスの現状 (2ページ目)
団体の経営や運営に関しての引継ぎはゼロ。パソコンやハードディスクは震災で全壊し、データも消えた。大会を開催しようと思っても、会場の押さえ方も、チケットをプレイガイドに委託する方法も、何もわからない。スタッフを雇おうにも給料が払えず、会社運営、大会運用、雑用、マネージメント、選手育成、自分の試合出場......ありとあらゆる業務を兼任し、パンク寸前になった。
「すべての女子プロレス団体に挨拶に行って、『お願いします、お願いします』と頼み込みました。そこでいろんな企画を考えて実現したのが、後楽園ホールでの多団体対抗トーナメント『クラッシュトーナメント』です。他団体のみなさんのお陰で満員になりました。今でも本当に感謝しています」
【男女混合マッチの概念を覆し、海外で大ブレイク】
2013年、仙女の選手が3人になった。震災の影響でまだまだ試合数も少なく、所属選手がさらにふたり減った時、里村は「これを機に海外に挑戦しよう」と思い立つ。世界最大級のプロレス団体・WWEに書類と動画を送った。しかし、当時のWWE女子部門は、"ディーバ"と呼ばれるセクシーなレスラーが主流の時代。すぐに「あなたのようなスタイルのレスラーは、今は必要ありません」と厳しい返事が来た。ショックだった。
しかし、このままでは終われない。2015年、アメリカの団体・CHIKARA(チカラ)に試合のDVDを送って売り込んだ。6人タッグトーナメント「King of Trios」に出場し、優勝。たまたま現地で観戦していたWWEのスーパースターが里村の闘いぶりを絶賛したことで、海外でのオファーが増えていく。
2018年3月30日、イギリスの団体・ファイトクラブプロに初参戦。女子で初めて男子無差別級のベルトを奪取する。翌日、ビッグマッチのセミファイナルに出場し、その試合が世界に広まった。
「当時、海外でも男女ミックスドマッチはあったんですけど、男子レスラーは女子レスラーに対して、あまり大技を仕掛けられなかったんですね。でも、私は受けがすごく強いですし反撃するから、男子もどんどんエスカレートして、そのうちラリアットとかパワーボムを仕掛けてくるようになった。それに海外の選手やファンの方は驚いて、『里村すごい!』と言われるようになりました」
2 / 4