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WWEに門前払い→トリプルHも絶賛でオファー増加 里村明衣子が振り返る海外挑戦と、日本女子プロレスの現状 (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 日本のプロレス人気が回復したとはいえ、プロレスのマーケットは野球やサッカーと比べるとまだまだ小さい。里村の夢は、プロレス界から大スターを生み出すこと。そして、プロレスで一世風靡するような世界を作ることだ。

 里村自身はどうか。

「まだまだいける気がします。2013年に女子プロレス大賞を獲った時も全然満足していなかったですし、2019年に『週刊プロレス』のファン投票で1位を取った時も、『もうひと花咲かせたい』と思ったし、2021年にWWEと契約してヨーロッパでチャンピオンになった時も『これが最後じゃないな』と思いました。まだ何かできる気がするんですよ」

【「本音で伝える」が自身のテーマになったきっかけ】

 2016年11月に急逝した、作家の雨宮まみさんは里村明衣子というプロレスラーに心酔していた。2023年12月に上梓された雨宮さんの遺稿『40歳がくる!』(大和書房)に、里村は寄稿している。

 雨宮さんは里村の本を書くために、インタビューを重ねていた。里村の男性関係について聞きたがった雨宮さんに対して、里村は「男ってずるいじゃないですか?」と言った。しかし「それってどういうことですか?」と掘り返された時、里村は答えることができなかった。雨宮さんがおそらく一番聞き出したかったことを濁してしまったことを、里村は今でも後悔しているという。

「今は自分がちゃんと自立しているから、男性に対して甘えたいとか、会いたいという気持ちもそんなにない。でも、当時は自分が相手に何かしてほしい時に、言い訳をつけて逃げられたりすることがよくあって。そういう話を逸らされていたから『ずるいな』と思っていたんです。あれから7年経ってみて、金銭面もそうですし、自立してしまえば欲なんてないなと思う。他人に委ねるものがないので、強くなったなと思いますね」

 2017年11月、雨宮さんのインタビューを基に、里村はエッセイ本『「かっこいい」の鍛え方~女子プロレスラー里村の報われない22年の日々』(インプレス)を上梓した。

「今は『報われた』と言い切れるようになりました。いろんな厳しい闘いもありましたけど、今のところは自分が思い描いている以上の人生を歩ませてもらっています。雨宮さんに、今の自分を見ていただきたかった」

 雨宮さんの死後、「本音で伝える」ということが里村の中でテーマとなったという。今回のインタビューで、里村はどんな質問に対しても包み隠さず本音を話してくれた。その生き生きとした表情を見て、彼女は"進化し続ける人"なのだと感じた。

 里村明衣子の進化は、きっとまだまだ止まらない。

【プロフィール】
里村明衣子(さとむら・めいこ)

1979年11月17日、新潟県新潟市生まれ。3歳から柔道を始め、中学で自ら柔道部を設立。3年生の時、県大会で優勝する。1995年1月、GAEA JAPAN入門。同年4月15日、後楽園ホールでの加藤園子戦にて、15歳の史上最年少レスラーとしてデビュー。2001年12月15日、アジャコングとのタイトルマッチに勝利し、AAAWシングル選手権を獲得。2005年4月、GAEA JAPANが解散し、2006年7月9日、新崎人生とともに仙台サンプラザでセンダイガールズプロレスリングを旗揚げ。2011年8月、新崎人生より独立し、代表取締役に就任。2021年1月、WWEとコーチ兼選手契約を結び、6月10日、ケイ・リー・レイを下し、NXT UK女子王座を獲得した。157cm、68kg。X:@satomurameiko

【センダイガールズプロレスリング大会情報】
■日時:4月14日(日)11:30試合開始(10:45開場)
■会場:東京・後楽園ホール
■詳細:後楽園ホール(24年04月) | センダイガールズプロレスリング公式サイト (sendaigirls.jp)

【センダイガールズプロレスリング大会情報】
■日時:4月14日(日)11:30試合開始(10:45開場)
■会場:東京・後楽園ホール

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著者プロフィール

  • 尾崎ムギ子

    尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)

    1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。

【写真】「女子プロレス界の横綱」里村明衣子フォトギャラリー

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