「そんなことやって何になるんだ」家族の反対を押し切ってプロ宣言 女子ボクサー・藤原茜はなぜアラフォーになっても闘い続けるのか (3ページ目)
それでもアスリートである以上、いつか終わりは訪れる。どんな結果を得られれば、彼女は満足してリングを降りることができるのだろうか?
「その答えは、ベルトを巻いてから考えます。ベルトを巻いたからこそ、見える景色がある。正直に言えば、自分でも何を成し遂げたら満足できるか、納得できるかわからない。
そのためにも、どんなベルトであろうとまずは巻く。その時の気持ちは、その時になってみないとわからないから。ベルトを巻いた先に何があるのか知りたい。そこで、満足して辞めるかもしれないし、もっと先までって思うかもしれないから」
「何を成し遂げたら満足できるか、納得できるか」
その答えが見つけられるのは、リングの上だけ。しかし、次戦はなかなか決まらなかった。逸る気持ちを抑えるように彼女はトレーニングに打ち込み、待ち続けること10カ月。ついに4度目のチャンスが舞い込む。
4月1日、日本女子フェザー級タイトルマッチが決定。
試合後、彼女の腰にベルトは巻かれているのか?
少なくともベルトの有無にかかわらず、「現役続行か? 引退か?」などと野暮なことは聞かないでほしい。その答えは試合後にプロテインを飲んだか確認すればわかる。
試合直後にプロテインを飲む理由を彼女は言う。
「試合が終わった瞬間、次の試合は始まっているから」
試合後のプロテイン、藤原茜にとって試合開始のゴングだ。
(文中敬称略/おわり)
藤原茜(ふじわら・あかね)
1987年7月18日生まれ。千葉県出身。日体大を卒業し、コンサルティング会社に就職するもすぐに退職。その後、スポーツトレーナーとして働くなか、27歳の時にボクシングと出会う。当初は東京五輪出場を目指してアマで活動していたが、すぐに現実を思い知らされ、五輪出場を諦めてプロへ転向。アラフォーを迎えた現在も、第一線で活躍している。ワタナベボクシングジム所属。戦績9戦5勝(2KO)3敗1分。ワタナベボクシングジムHP>>
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