ONE初参戦の武尊にK-1のレジェンド武蔵が送った「日本を背負う」気持ちよりも大切なこと (2ページ目)

  • 松岡健治●取材・文 text by Matsuoka Kenji

武蔵 そのためには統一ルールを作って、試合を公平・公正に管理する格闘技の統一コミッションがあれば、競技として成立すると思う。俺が現役だった頃のK-1だったら、それができたはず。おそらく主宰者にも、周囲から「世界的なメジャースポーツにするために、コミッションを作るべき」というアドバイスもあったと思うんだよね。

 それをやらなかったのは、俺個人としては罪だと思う。キックボクシングは、日本で生まれた格闘技。だからこそ日本で確立していかないといけないし、今こそ日本の格闘技界が率先して統一コミッションを作る時だと思う。

武尊 1990年代、2000年代のK-1では、世界一の男を日本で決めていましたよね。これから僕は、そういう世界になるようにけん引していけたらと思っています。

――格闘技をメジャースポーツにする、と考えている選手がいる一方で「BreakingDown」のようなアマチュア格闘技のイベントが人気になっています。この風潮をどう受け止めていますか?

武尊 僕は、あれは「格闘技とは別物」だと思っているので意識してないです。ただ、イベントに出ている選手がプロの格闘家だと思われるのは嫌ですけどね。

武蔵 俺も、あれは素人が集まる地下イベントだと思っているよ。ただ残念なのは、表舞台にいる格闘家がそちらに流れていること。選手が地表から地下へ行くことには「なんで?」ってなるね。

【武蔵が武尊に説く、闘う上で「最優先すべきこと」】

武尊 僕は(1月28日の)有明アリーナからONEに参戦して、世界の選手と闘います。世界に自分の名前を売っていきたいし、世界一であることを証明していきたいと思っているんですけど、日本人代表として闘う時の気持ちを、武蔵さんはどのように作っていたんでしょうか? 精神的に大変だったと思うのですが。

武蔵 もちろん"日本を背負う"という気持ち、人のために、ファンのためにっていう気持ちも大事だとは思う。だけど、一番大事なことは"いかに自分を光らせるか"。いかに自分らしく闘うかだと思うから、自分のために闘うことが大切なんじゃないかな。

 最優先すべきことは、自分が楽しむこと。楽しく闘っているとファンにも伝わるし、必ずいい試合になる。それを、心の片隅にでも置いといてくれたらと思うよ。

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