東京女子プロレス・上福ゆき「自分は客寄せパンダでいい」 港区女子からリングで取り戻した自尊心と周囲への感謝

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by 林ユバ

【自分は"客寄せパンダ"でいい】

 今年7月29日、「東京プリンセスカップ」2回戦で渡辺未詩を破り、準決勝進出を果たした。

「未詩ちゃんはものすごく練習熱心だし、真面目すぎるくらい真面目。まだ若いんですよ。23歳かな。私も若い頃はそうだったけど、『これはこうであるべき。こうじゃないとダメ』みたいな感覚なんですよね。こだわるのはいいけど、固定概念と紙一重の部分があって。自分が勝つことで、そういう概念をなくせたらいいなと思いました」

 8月12日に後楽園ホールで行なわれる準決勝で、上福は"ホワイトドラゴン"辰巳リカと対戦する。辰巳は東京女子の初期メンバーで、キャリア10年。現在、インターナショナル・プリンセス王座のベルトを巻く強敵だ。

「(辰巳は)穏やかだし、クールだし、我関せずで、いつもいいポジションにいるんですよ。試合中はロックでクレイジーな感じ。でも、セクシーさではゆきのほうが上回っていると思うので、そこを制したいですね。でも私は、リカさんが好きなんですよ。フワっとしてて、いいなあと思うんですけど、対照的な感じでいけたらなって」

 決して、「勝ちたい」「勝ちます」とは言わない。勝ちたくないはずがない。けれど、上福は安易な言葉を使うのを嫌がる。相手への敬意があるからだ。その真面目さと、頑なでどこか不器用な性格が、私はとても好きだ。

 上福は「自分は"客寄せパンダ"でいい」という。

「『ギャルが闘っててウケる"くらいの気軽さで、東京女子に興味を持ってほしいです。自分は一番じゃなくていい。他の選手を好きになってくれていい。東京女子には素敵な選手がたくさんいるから。

 東京女子にいる時、すごい幸せなんですよ。当たり前に『おはよう』って言う人がいることって、ありがたいなと思うんです。『もう東京女子に私がいなくてもいいや』って思ったら辞めると思うけど、独り身で寂しい時には辞めたくない。その先、たぶん死ぬほど落ち込んじゃうから」

 そう言って笑う彼女の笑顔は本当に眩しくて、私が思わず「上福ゆきになりたい」と言ったら、彼女はまたケラケラと笑った。

(連載14:東京女子プロレス・角田奈穂が振り返る、保育士と女優時代の苦悩 「崖っぷち」の状態でリングに賭けた>>)

【プロフィール】
●上福ゆき(かみふく・ゆき)

1993年2月20日、神奈川県横浜市生まれ、藤沢市育ち。東洋大学英語コミュニケーション学科に在籍中、大学のミスコンで準ミスに輝き、芸能界入り。レースクイーン、グラビアアイドルを経て、2017年8月26日、東京女子プロレス後楽園ホール大会でプロレスデビュー(まなせゆうな&上福ゆきvs瑞希&のの子)。2020年11月7日、TOKYO DOME CITY HALL大会にて、空位となっていたインターナショナル・プリンセス王座の新王者決定トーナメントを制し、第5代王者となる。173cm、51kg。Twitter:@zacyuki

■大会情報
【大会名】東京プリンセスカップ
【日時】2023年8月12日(土) 開場17:30 開始18:30
【会場】東京・後楽園ホール

詳細はDDTプロレスリング公式サイトへ>>

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