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東京女子プロレス・上福ゆき「自分は客寄せパンダでいい」 港区女子からリングで取り戻した自尊心と周囲への感謝 (2ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko
  • photo by 林ユバ

 2017年8月26日、東京女子プロレス後楽園ホール大会でデビュー。まなせと組み、瑞希&のの子組と闘った。敗れてしまったが、プロレスは想像以上に楽しかった。そこから徐々に徐々に、プロレスにのめり込んでいく。

 新人時代の上福を、赤井沙希はこう評していた。「見ていて面白いし楽しそうだけど、難点は勝とうとしていないこと」――。

「『勝ちたい、勝ちたい』って言うのはダサいと思ってました。今でもちょっと思ってます。キャリアが10年くらい離れている人に、新人が『絶対、勝ちたかったのに悔しい』とか言ってるのを見ると、『馬鹿じゃねえの?』って思うんですよ。勝てるわけないじゃん、弱いんだから。なんでもかんでも『勝ちたい』って言うのは、安いなと思う」

 上福にインタビューをして思ったのは、根がものすごく真面目だということ。しかし派手な見た目と"パリピ"キャラゆえに、誤解されることも多かったという。高木三四郎社長に向かって「三禁(酒、タバコ、男)は守らない」と公言し、バッシングに遭った。

「実際は、高木さんに『(三禁を)守らないキャラでいけ』って言われたからやってるだけだけど、最初は東京女子の選手もお客さんも、たぶん戸惑ったんですよね。『なんで、かみーゆ(上福の愛称)はいいの?』って思われてたと思う」

 2019年3月27日、まなせとのタッグで、TOKYOプリンセスタッグ王座に挑戦。自らグッドルッキングガイに変身するなどして、坂崎ユカ&瑞希の王者組を翻弄したが、勝つことはできなかった。

「初めて悔しいと思いました。ペースも何もかも向こうが上で、『自分のいいところってなにもなかったなあ』と思ったり。最初からお客さんに『勝てないだろう』と思われていたのが、悔しいというか、現実を知ったなという感じでしたね」

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