KAIRIが「人前に出るのもブーイングも怖い」とWWEで感じた恐怖 涙が出るほどある選手の言葉に救われた (2ページ目)

  • 大楽聡詞●取材・文 text by Dairaku Satoshi
  • photo by Getty Images

【「人前に出るのもブーイングも怖い」】

――個人的に、今までのベルト姿でKAIRI選手に一番似合っているベルトだと思います。

KAIRI:とても嬉しいです(笑)。私の中でも、あのチャンピオンになった瞬間が今までで一番印象に残っています。

 ただ、そこに至るまではけっこう大変で......2017年9月のメイ・ヤングで優勝してからは、周囲の見る目がどんどん厳しくなっていきました。「次の試合は何分で勝ってくれるんだろう」という周囲からの期待感がすごくて。私は対戦相手に何度やられても立ち上がることで、感動する試合を生み出すタイプだという自負がありましたから、迷いが出てしまいました。

 それから、しばらく使われなくなったんです。正直、「NXTのベルトまで、あと何年かかるのかな」と感じました。

――KAIRI選手も精神的に厳しかったと思いますが、どう乗り越えたんですか?

KAIRI:ザイア・リーという初の中国のレスラーがいて、私が落ち込んで「人前に出るのもブーイングも怖いし、プロレスをやりたくない」と言ったんです。そうしたらザイアは、「私はKAIRIの楽しんでいる試合が好きだから。一番前でKAIRIを見てる。苦しかったら私のほうを見て」と励ましてくれた。今思い出しても、涙が溢れちゃいますね......。

 それで「変わらなきゃ」と思い、「自分らしいプロレスを楽しんでやろう」と。そこからです、前向きになったのは。

――KAIRI選手がブレなくなったのは、ザイア選手のおかげだったんですね。

KAIRI:そうですね。その直後、NXTベルトへの次期挑戦者を決める戦いで勝つことができて、「ここで結果を残さないと次はない」と必死に食らいついてNXT女子王座を獲得しました。

 当時、日本では「メイ・ヤングで優勝、NXT女子王座も獲得して順調だ」と思われていたでしょうね。でも、試合に出られなければ放送もない。逆境だったのでチャンピオンになった時の喜びは大きかったんです。なんの苦労もなくチャンピオンになっていたら、プロレスに対するモチベーションは下がっていたかもしれないですね。

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