井上尚弥vsドネアの再戦はどうなる? 米記者たちが試合展開や勝敗を予想した

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

「ドラマ・イン・サイタマ2」が実現へ。日本が誇る"モンスター"、WBAスーパー・IBFバンタム王者井上尚弥(大橋)は、6月7日、さいたまスポーツアリーナでWBC王者ノニト・ドネア(フィリピン)との統一戦に臨むことになった。

昨年12月、防衛戦に勝利した井上昨年12月、防衛戦に勝利した井上この記事に関連する写真を見る ご存知の通り、両者は2019年11月にさいたまで初対決し、アメリカでも多くの媒体で年間最高試合に選ばれる名勝負を演じた。その試合は井上が3−0の判定勝ちを収めたが、第9ラウンドにはドネアが渾身の右を当て、井上をプロキャリアで初めてといっていいピンチに追い込むシーンもあった。

 あれから約2年半―――。互いに尊敬し合う2人の偉大なボクサーは、運命の糸に引き寄せられるように再び激突する。この楽しみな一戦を、米メディアはどう見ているのか。今回は軽量級のボクシング事情に詳しい4人のベテラン記者に3つの質問をぶつけ、リマッチの行方を占ってみた。

【選手プロフィール】

WBAスーパー・IBF王者 
井上尚弥(大橋/29歳/22戦全勝(19KO))

WBC王者 
ノニト・ドネア(フィリピン/39歳/42勝(28KO)6敗)

【パネリスト】

●スティーブ・キム(元『ESPN.com』のメインライター。韓国系アメリカ人。業界内に幅広い人脈を持つ)

●ミゲル・マラビリャ(『Fightnews.com』のライター。主にカリフォルニアのビッグファイトを担当し、昨年12月のドネア対レイマート・ガバリョ(フィリピン)戦もリングサイドで取材)

●フランシスコ・サラサール(フリーランスのボクシングライター。『リングマガジン』や『Boxingscene.com』などで執筆する)

●ショーン・ジッテル(『FightHype.com』のレポーター。ラスベガス在住。全米を飛び回って取材し、著名選手からも信頼を得る)

Q1.リマッチはどんな展開になり、どちらが勝つと思うか。

キム : 私は第1戦でも、ドネアが井上に善戦すると考えていた数少ないメディア関係者のひとりだったが、再戦も激しい戦いになると見ている。ドネアのキャリアを振り返ると、井上戦以外で、バンタム級以下の体重で負けたのはデビュー2戦目のみ。ドネアが負けるのは多くの場合がウェイトを上げすぎた時で、バンタム級では今でも最高級の選手だ。

 一時のドネアはボクシングに倦怠していたが、もう情熱を取り戻している。総合的に見て、サイズ、身体能力、強烈な左フックを備えたドネアは依然としてバンタム級では井上にとってもっとも危険な相手だろう。ただ、予想としては井上の勝利を推したい。ドネアとの第1戦で少なからずのダメージを負ったあと、すぐに再戦しなかったことは井上のコンディション面でプラスに働くのではないかと思う。

 今戦は"全盛期にいる偉大なボクサー"と、"いまだに力を保っている偉大なボクサー"の対戦。序盤は互いに慎重になり、長いラウンドの勝負になるだろうが、今がピークの井上が終盤でのKOか判定で勝つだろう。

1 / 4

【画像】井上尚弥が現地解説。村田諒太vsゴロフキン 日本が沸いた激闘の記憶

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る