2022.02.08

ドネアに聞いた井上尚弥との再戦の可能性。フィリピンの英雄は最後にリングサイドで叫んだ

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

 WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(大橋ジム)の次戦は5、6月になりそうだという。井上は「少なからずドネアを意識しながらトレーニングを進めています」という言葉を日本メディアに残しており、対戦相手はやはり、WBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)になる可能性が高そうだ。

リマッチが決まるかどうか注目が集まる井上(左)とドネアリマッチが決まるかどうか注目が集まる井上(左)とドネア この記事に関連する写真を見る  現地時間2月5日、ラスベガス、マンダレイベイ・リゾートのリングサイド。ウェルター級12回戦、キース・サーマン(アメリカ)vsマリオ・バリオス(アメリカ)を観戦に訪れていたドネアに、井上戦の可能性をあらためて尋ねると、39歳になった"軽量級レジェンド"も日本の盟友との再戦に異存はないようだった。

「交渉は進んでいると聞いていますし、このまますべてうまくいくことを願っています。試合が決まったら間違いなく100%の状態で臨むつもり。井上とまた戦えるとしたらエキサイティングだし、本当に楽しみです」

 ともに軽量級を代表する名王者であり、「宿敵」と呼んでもいい2人のチャンピオン。これまで、井上が日本で予定するビッグイベントの相手に関してはさまざまな憶測が飛び交ってきたが、実際には「ドネアが大本命」としか考えられなかった。

 候補のひとりだったWBO王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)は体調を崩し、昨年12月11日に予定されていたポール・バトラー(英国)との指名戦の計量に登場することさえできなかった(試合は中止になり、4月23日に再設定)。意外にもカシメロは王座を保持できることになったが、計量失敗の懸念や薬物使用疑惑もあるため、日本での大イベントに起用するにはリスクが大きすぎる。

 井上の統一戦のもうひとりの主役として大々的にプロモーションを行ないながら、直前でキャンセル......イベントの主催者側からすれば、そういった悲惨な事態を避けたいのは当然のこと。アメリカの興行のように、代役の対戦者を事前に用意しておくことも困難。だとすれば、カシメロを日本での大興行の対戦者として考えるのは現実的ではなかった。