「ネクスト井上尚弥は?」米メディアの記者たちが挙げたのは24歳の若き王者の名。「3階級制覇も狙える」

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Kyodo News

「かつての日本人ボクサーは、運動量とコンディションのよさ、意志の強さが特徴だったが、近年は井上尚弥(大橋ジム)を筆頭に爆発力がある選手が多い。身体能力、スピード、パワーを備えた選手が続々と出てくるようになった」

 米ボクシングメディア『FightHype.com』のレポーター、ショーン・ジッテルがそう述べたとおり、近年は米リングにおいてダイナミックな日本人ボクサーの活躍が目立つようになった。常にトップコンディションで素行がよく、計量失敗などの心配がないだけでなく、ハイレベルな実力も備えている。そんな日本人選手がアメリカでも高く評価され始めたのは当然の流れだろう。

 2021年は、WBAスーパー・IBF世界バンタム級王者の井上、WBA世界ライトフライ級王者の京口紘人(ワタナベジム)、WBO世界フライ級王者の中谷潤人(M.Tジム)が米リングでKO防衛に成功。さらに昨年11月、尾川堅一(帝拳ジム)がニューヨークの殿堂マディソン・スクウェア・ガーデン・シアター(現在の正式名称はHuluシアター)でIBF世界スーパーフェザー級王座を奪取し、本場で名を売ったのは記憶に新しい。

米トゥーソンでの初防衛戦を、TKO勝利で飾った中谷米トゥーソンでの初防衛戦を、TKO勝利で飾った中谷この記事に関連する写真を見る こうなってくると、今では米リングでも一定の存在感を醸し出すようになった井上に次ぐ「スター選手」が生まれてほしいもの。その座に一番近いところにいる日本人ボクサーは誰なのか。

 現地時間2月5日、ラスベガスで行なわれたウェルター級12回戦、キース・サーマン(アメリカ)対マリオ・バリオス(アメリカ)の前後に地元メディアを訪ねて回ると、真っ先に出てきたのは"Junto"という名前。前述したジッテル記者に加え、『リングマガジン』のライアン・オハラ、『ロサンゼルスタイムズ』のノーム・フラーエンハイム、『Boxingscene.com』のライアン・バートンといったベテラン記者たちも、揃って中谷潤人の名を挙げた。

 中谷は昨年9月、アリゾナのリングで実績のあるアンヘル・アコスタ(プエルトリコ)に4回TKO勝ちで鮮烈な米国デビュー。これまで22戦全勝(17KO)と立派な戦績を積み重ね、年齢的にも24歳と、まだ伸びしろをたっぷり残している。この通称"愛の拳士"への期待度はかなり高いようだ。

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