「オンナ堀口恭司」渡辺華奈は前を向く。「一度アスリートとして終わった。そこからの格闘技人生はボーナスステージ」
女子格闘家ファイル(2)
渡辺華奈 インタビュー 後編
(前編:プロ12戦目での初黒星で学んだこと>>)
「私は柔道で、一度アスリートとして終わったと思っている」
米格闘技団体のBellator女子フライ級4位の渡辺華奈は、7歳から柔道を始めた。高校では、のちにオリンピックで2個の銅メダルを獲得(北京、リオ五輪)する1学年後輩の中村美里とともに活躍。大学、実業団でも実績を残し、全日本強化指定選手にも選ばれていたが、目標だったオリンピック、世界一には届かなかった。
しかし、柔道から総合格闘技に舞台を移すと11戦無敗。昨年6月には初めての負けも経験したが、まだまだ頂上を狙える位置にいる。渡辺華奈は今、アスリートとして生きている。
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――柔道が格闘家としてのバックボーンですが、総合で活かせるのは得意の内股ですか?
「そうですね。内股とか足技をけっこう使ってます。タックルは練習している人が多くて受け慣れているんですが、柔道の技に慣れていない選手はけっこういて、意外と効くんですよ。投げたあとのグラウンドでのコントロールも、柔道の経験が活きています」
――柔道人生の終盤はケガもあって、ネガティブになることもあったそうですが、総合格闘技はいかがですか?
「柔道の時ほど気負わず、平常心で試合ができています。柔道時代は、頂点になかなか届かないうちにナーバスになって、『負けたらどうしよう』とマイナスな方向に気持ちが向いていました。私は柔道で、一度アスリートとして終わったと思っています。
そこからの格闘技人生は"ボーナスステージ"なので、プラスの気持ちしかありません。『負けたらどうしよう』という不安もない。負けたらまた頑張ればいいですし、できるところまでやろうという感じです」
――そのモチベーションの源はなんですか?
「何もない、挑戦してない人生ってつまらないじゃないですか。純粋に、自分が今アスリートでいられることがうれしい。目標を持って上を目指すこと、世界一を目指すことができていることが幸せです。今はただ、強くなってチャンピオンになりたいですね」
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