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赤井沙希のプロレスデビューに、父・英和は「楽しんで」。母は「親子の縁を切る」と猛反対した (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

【なんでロープに振られて帰ってくるの?】

 その後、モデルだけでなく、バラエティー番組にも出演。プロの芸人たちが場を盛り上げる中、「自分は必要ないんじゃないか?」と感じるようになった。こういう役割で呼ばれているんだろう、と勝手に解釈し、思ってもいないことを言ってしまう。そんな自分が嫌で、徐々に芸能界に対して苦手意識を抱くようになっていった。

 そんな中、2011年、テレビドラマ『マッスルガール!』(TBS・MBS系)でヒールレスラーを演じた。役名は、ビッグデビル。プロレスは「正直、好きではなかった」と振り返る。

「母がボクシングのトレーナーだったので、格闘技は子供の頃から身近な存在だったんです。母はプロレスも好きで、テレビでよく見てたんですけど、私は血が出ていたりすると『なんでセコンドがいるのに、血止めへんの?』とか、レフェリーが見てない間に反則する選手を見て『出場停止にしろ!』とか思っていました。プロレスをどう見たらいいかわからなかったですね」

 ドラマの終盤、女子プロレス団体のアイスリボンで観客を前にプロレスデビューすることになった。ファンに受け入れられないんじゃないかと卑屈になっていたが、試合は大いに盛り上がった。プロレス団体からも「本格的にやってみないか?」とアプローチされたが、簡単にやれる仕事ではないと思い、そっとフェイドアウトした。

 その後、格闘技に理解があるという理由で、「ラジオ新日本プロレス」のアシスタントに起用される。しかし、プロレスのことはまったくわからない。ゲストに登場するレスラーたちに、素朴な疑問を投げかけた。

「『なんでロープに振られて帰ってくるんですか?』とか、『なんで避けられるのに避けないんですか?』とか。TAKAみちのく選手に『なんでそんな前髪してるんですか?』とか(笑)。何が失礼で、何が失礼じゃないかもわかりませんでした」

 今なら、当時自分がした質問に答えられる。ロープはその反動を使ってカウンターで技を仕掛けられるし、帰ってこないとワイヤーで肋骨を折る危険性があるから。なぜ避けないかというと、プロレスは"受けてナンボ"の世界だから。「ファンの方がこれで納得してくれるかわからないですけど」と苦笑する。

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