赤井沙希のプロレスデビューに、父・英和は「楽しんで」。母は「親子の縁を切る」と猛反対した (2ページ目)
英和が日本テレビの『24時間テレビ』でマラソンランナーを務めたことがある。「このゴールを誰に伝えたいですか?」と聞かれた英和は家族の名前を挙げた。しかしその中に、沙希の名前はなかった。私にとってお父さんはこの人だけだけど、この人にとって私は子供じゃないんだ......。ショックを受けたが、母にその姿を見せたくない。布団の中でひとり、泣いた。
幼稚園の運動会に、父がこっそり姿を現したことがある。「沙希ちゃんのお父さん、赤井英和らしいよ」という噂が広まり、父のサインをせがまれた。「うちにはいないよ」と言うと、嘘つき呼ばわりされた。お父さんがほしい――ずっとそう思って生きてきた。
プロレスだけでなく、モデルやタレントなど幅広く活躍中 photo by Hayashi Yubaこの記事に関連する写真を見る 中学2年生の時、街でスカウトされ、モデルデビュー。身長が高いことをコンプレックスに感じていた赤井に光が見えた。『VOGUE』で風を浴び、堂々とポージングする冨永愛に憧れた。
「子供の頃から美容が好きでした。将来は、デパートの1階にいる(化粧品売り場の)ビューティーアドバイザーになりたかった。いい匂いがするフロアで、ビシッと背筋を伸ばしたお姉さんが女性相手に美をテーマにお仕事されているって、素敵だなと思ったんです。だれかに喜んでもらうことが好きだったんだと思います」
17歳の時、写真集を発売するタイミングで、英和の娘だということを公表する。その時、14、15年振りに父と再会を果たした。開口一番、笑顔で「おっきくなったなあ」と言う父を見て、「テレビのまんまの人だ」と思った。
「『十数年間の溝を、これから埋めていこうな』と言ってくれました。だけど、それまでと変わらなかった部分がほとんどで、母と姉は複雑な思いを抱いていたみたいです。ただ、私は人前に出る仕事をしていて、今はDDTや事務所などいろんな"家族"がいますから、父がこちらに深く関われない立場もわからなくはないんです」
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