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赤井沙希のプロレスデビューに、父・英和は「楽しんで」。母は「親子の縁を切る」と猛反対した (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 勉強のために、新日本プロレス以外の団体も観戦した。ドラゴンゲート、ノア、全日本プロレス、レジェンドプロレス......。そんな中、DDTを観戦した時、驚いたことがある。

「試合前、お客さんが銀色の包みを配ってるんですよ。スイートポテトか何かかと思いました。顔馴染みの人に『これ作ってきたから食べて』みたいな感じかと。そうしたら選手がリングコールされた時、みんな包みを開けてリングに投げたんです!」

 紙テープだった。今はコロナ禍で禁止されているが、紙テープはDDTの名物とも言える。投げられる時、選手はどんな気持ちがするのだろうか。

「DDTって、"ドラマチック・ドリーム・チーム"の頭文字を取っているんですけど、お客さんも含めてのチームだと思うんです。DDTは常に何かを目標に掲げてるんですよ。東京ドーム大会をやるとか、今だったら業界ナンバーワンを目指すとか。選手だけじゃなくて、お客さんも一緒に目標に向かっている。紙テープを投げてもらうと、『空間に彩りを添えてくれるのはお客さんだな』と感じます」

【母の猛反対を押し切り、本格的にプロレスデビュー】

 2013年のある時、高木三四郎社長のもとに「赤井沙希が毎月、DDTを観戦している」という声が届いた。高木はすぐに赤井のマネージャーに連絡し、DDTフーズのエビスコ酒場に赤井を呼び出す。赤井が扉を開けると、高木に加えて、飯伏幸太、中澤マイケル、KUDO、伊橋剛太が立っていた。

「セクシーなビデオへの出演を説得する時、周りを固めるって言うじゃないですか。『絶対にここで曖昧なことを言っちゃいけない』と思いました。『楽しそうですね』なんて言ったらダメだと思って、どんなことを言われても『一旦、持ち帰らせてください』と返事をしようと」

 プロレスは大好きになっていたが、その世界に入る芸能人は"崖っぷち"なイメージがあった。プロレスをリスペクトしている分、生半可な気持ちでやってはいけないとも思った。しかし高木にリングに上がる楽しさを説かれ、やるならイチからとことん勉強させてもらうことを条件に、デビューを決めた。

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