2018.06.19

レスリング「非至学館」の熱戦に水を差す、
栄・谷岡コンビの茶番劇

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

 オリンピック4連覇の伊調馨選手(ALSOK)と彼女を指導してきた田南部力(たなべ・ちから)コーチが、栄和人氏によってパワハラを受けたとされる告発状が内閣府公益認定等委員会に提出されてから5ヵ月――。いまだ問題解決を見ぬ日本レスリング界だが、6月14日~17日に東京・駒沢体育館にて明治杯全日本選抜選手権が開催された。

女子50キロ級の決勝は「非至学館」出身の須崎(左)と入江(右)が対戦した 多くのリオ五輪メダリストや昨年の世界選手権優勝者が出場する今大会。2年後の東京五輪に向けてしのぎを削るなか、もっとも注目された階級は女子最軽量の50キロ級だろう。東京五輪では金メダル以外は許されない、日本が世界に誇る「絶対階級」だ。

 決勝戦に進出したのは、準決勝でリオ五輪金メダリストの登坂絵莉(とうさか・えり/東新住建)に力の差を見せつけた入江ゆき(自衛隊体育学校)。そしてもうひとりは、2017年に世界チャンピオンに輝いた18歳の須崎優衣(早稲田大)だ。

 昨年12月の天皇杯全日本選手権・決勝と同じ組み合わせとなったが、前回は入江が4ヵ月前に世界を制したばかりの須崎をテクニカルフォールで撃破。今回は須崎のリベンジなるか、それとも入江が連勝して初の世界選手権出場なるか、会場中の観客が固唾を飲む一戦となった。

 入江は本格的にコーチに復帰したロンドン五輪金メダリストの小原日登美に徹底的に指導を受け、今大会も万全のコンディション。対する須崎は、3年前に入江に敗れて準優勝に終わった表彰状と、半年前に敗れて3位に終わった表彰状を自室に張って片時もその悔しさを忘れず、「絶対に自分が勝つ」と気合十分で臨んだ。

 第1ピリオドは須崎が消極性から1ポイントを献上したものの、片足タックルからバックを奪って2ポイント獲得。第2ピリオドの内容次第ではどちらが勝っても不思議ではない展開となった。

 だが、勝負は第2ピリオドの序盤に決する。タックルを仕掛けてきた入江を須崎が堪(こら)えて逆に返すと、そのまま入江の両肩をマットに押しつけた。37秒フォール勝ち。須崎は大会3連覇を達成し、ガッツポーズで満面の笑顔を見せた。