【国際プロレス伝】猪木の髪を切る暴挙。
ファンの憎悪は頂点に達した (4ページ目)
アニマル浜口が剛竜馬に勝利を飾った後、強烈な張り手合戦で始まった木村と猪木の一騎打ちは、両者一歩も譲らなかった。それでも、顔面が血だらけになった猪木が木村に腕ひしぎ逆十字固めを極(き)めると、木村は渾身の力を振り絞って足を伸ばしてロープブレイク。だが、猪木はレフェリーのブレイク要請を聞かず。最後は猪木の反則負けで、禍根を残す形となった。
新日本プロレスに対し、執拗に再戦を迫る国際軍団は、会場への乱入も辞さなかった。ヒール扱いされながらもアピールを繰り返した結果、11月5日、同じく蔵前国技館で「猪木vs.木村」が再戦。セコンドがリングを取り囲み、選手がリング下に逃れられないようにするランバージャック・デスマッチとして行なわれた試合は、猪木がふたたび腕ひしぎ逆十字固めを極(き)めると、このままでは木村の腕が骨折すると判断したセコンドがタオルを投入。木村のTKO負けとなった。
さらに、年が替わって1982年9月21日、大阪府立体育館。今度は、敗者が髪を切られるヘア・ベンド・マッチとして行なわれた「猪木vs木村」戦は、猪木が勝利したものの、勝負が決まる直前の場外乱闘中に事件が起きた。「国際軍団」に加わっていたストロング小林からハサミを渡されたアニマル浜口が、どさくさに紛れて猪木の髪を切るという暴挙を働いたのだ。試合後は、敗れた木村とともに国際軍団全員が逃走。悪役ぶりをヒートアップさせる国際軍団に対し、新日本プロレスファンの憎悪は頂点に達した。
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