【プロレス】「男と男の約束をしてくれ」。
元番記者が語る長州力の素顔 (5ページ目)
新日本時代からよくサイパンで合宿を張り、そのときは長州の気持ちも緩む。晩飯はいつも楽しいものだった。
長州が「よし! 今日は俺がチェアマンだ」と声を上げる。ロシア式の酒の飲み方で、仕切る人がチェアマン。「じゃあ、次、●●!」と指名されると飲まないといけない。そろそろ私の番が来るなと思ってグラスに酒を残しておくと、「金沢! 次来ると思って残してたろ!」と。なんでそんなところまで見ているんだ(笑)。本当にあの人は人間観察力がすごい。でも、無理強いはしないから、いつも楽しいお酒だったね。
元『週刊ゴング』編集長の金沢克彦。長州力の思い出話は尽きない『真説・長州力 1951-2015』は、斜め読みしてはいけない本だ。その時々の背景や人物の人となりまで描かれており、プロレスラーをこれだけ掘り下げた作品は今までなかったのでは。著者の田崎さんはよくこれだけ取材したなと。
プロレスマスコミではない田崎さんなりの嗅覚で、肝だと思ったところはどこまでも取材に行く。もし、カール・ゴッチが生きていたら、ゴッチのところまで行っただろうね。プロレスファンではない人でも楽しめる本になっていると思う。
私が伊香保温泉で会った後、新日本に戻った長州はめちゃくちゃ燃えていた。「長州力のゴールはどこにあるんですか?」と聞いたときの答えをよく覚えている。
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