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山中慎介の「神の左」は、どうして避けられないのか? (2ページ目)

  • 原 功●取材・文 text by Hara Isao  photo by AFLO

 相手の出身地は北米、ヨーロッパ、カリブ、アジア、南米と幅広く、そのボクシングスタイルも好戦的なファイターから技巧を売りにするボクサー型まで、多岐にわたる。さらに右構えもいれば、サウスポーもいる。だが、山中はそのことごとくを打ち砕いてきた。どんなタイプに対しても山中の左が通用していることが、こうしたデータからもうかがい知れる。V4戦で対戦したニエベスはスピードのある好選手だったが、王者の左ストレートを浴びて160秒でKO負け。それを最後にリングに上がっていない。山中は相手の心までも折ってしまったといっても過言ではない。

 ちなみに、結果とともに「1度」「2度」と付記した数字は、その試合で奪ったダウン数である。その数は世界戦9試合で合計19度にのぼる。ロハス戦やニエベス戦のように一撃でケリをつけた試合もあれば、ツニャカオ戦、ゲバラ戦、ジャモエ戦、スリヤン戦、そして今回のサンティリャン戦のように複数のダウンを奪ってフィニッシュ、あるいは圧勝した試合もある。

 実力は紙一重といわれる世界トップのボクサー相手に、これだけのダウンを奪う選手も珍しいといえよう。5月6日に10度目の防衛戦を控えているWBA世界スーパーフェザー級チャンピオンの内山高志(ワタナベ)が、10度の世界戦で奪ったダウンの数が5度であることを考えれば、山中がいかに多くのダウンを奪っているかが分かるはずだ。

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