山中慎介の「神の左」は、どうして避けられないのか? (3ページ目)
そのほとんどが左によるものであるのは、前述のとおりだ。今では「神の左」とまで称されているが、これは山中の後援会が応援用に製作したTシャツに「GOD LEFT」とプリントされていたキャッチコピーを、マスコミが取り上げたことから広まったものと言われている。「最初は大袈裟かなと思いましたが、自分は関西(滋賀県湖南市)出身なので、オーバーな感じぐらいがちょうどいいかなと思うようになりました」と山中は笑う。
「なぜ、あれほどまでに強い左を打つことができるのか」と、何度か山中に尋ねたことがあるが、いつも答えは似たようなものだった。「自分でもコツは分からないんですよ。連続KO勝ちをしていたころ(2009年~2011年)、なんとなく『これかな』という感じで(コツを)掴んだ気はしますが、それが何かは分からないんです。もちろん、少しタイミングをずらしたり、緩急をつけたりという工夫はしていますが……。自分のパンチは相手からちょっとだけ見えにくく、ちょっとだけ強いだけなんじゃないですか(笑)」
山中のジムメイトで、何度もスパーリングをしている佐々木洵樹の証言は、それを裏づけている。
「(山中の左は)タイミングが掴めないんです。こちらが出ていくとカウンターで合わせられるし、出ていかないと踏み込んで打ち込まれる。角度も様々なうえ、顔面かボディ、どちらに来るのかも読めないんです」というのである。
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