【総合格闘技】UFC JAPAN 2013、日本人最強・岡見勇信が1年前のリベンジを誓う!

  • 布施鋼治●取材・文 text by Fuse Koji
  • 長尾 迪●撮影 photo by Nagao Susumu

1981年生まれ、神奈川県出身。高校卒業後、和術慧舟會(けいしゅうかい)に入門し、2002年にプロデビュー。「PRIDE武士道」などを経て2006年、UFCデビュー。2011年8月にはアンデウソン・シウバのミドル級王座に挑戦。UFC通算成績12勝4敗1981年生まれ、神奈川県出身。高校卒業後、和術慧舟會(けいしゅうかい)に入門し、2002年にプロデビュー。「PRIDE武士道」などを経て2006年、UFCデビュー。2011年8月にはアンデウソン・シウバのミドル級王座に挑戦。UFC通算成績12勝4敗 ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)、マーク・ハント(ニュージーランド)、五味隆典ら日本でもお馴染みのトップファイターが集結する『UFC JAPAN2013』(3月3日/さいたまスーパーアリーナ)。五味以外にも日本人ファイターは多数出場するが、日本の切り札といえばやはりこの人――岡見"サンダー"勇信だ。

 2012年8月11日(現地時間)、コロラド州デンバーで行なわれた『UFC150』でのバディ・ロバーツ(アメリカ)戦を目前に控えた岡見は、宿泊先のホテルでロンドンオリンピックを観戦していた。テレビの画面は男子ボクシングのミドル級決勝で、ブラジル代表と闘う村田諒太を映し出していた。

 その雄姿を見て、岡見は妙な興奮を覚えた。村田と接点があったわけでも、詳しく知っていたわけでもない。しかも、村田がアマチュアなら自分はプロで、競技も違う。それでも、日の丸を背負いながら世界最高峰の舞台で闘っているという部分は重なる。第2ラウンドに村田が劣勢に追い込まれると、岡見は絶叫した。

「頑張れ、村田!」

 村田が日本人ボクサーとして48年ぶりとなる金メダルを獲得すると、さらに不思議な感覚が岡見に押し寄せてきた。英語でまくし立てる実況を聞いていると、「JAPAN」という単語が耳に引っかかった。

「よし、今日は俺も頑張ろう!」

 その数時間後、オクタゴンの中に入った岡見は、ロバーツをバックマウントからのパンチでTKO勝ち。同年2月26日の『UFC JAPAN』でティム・ボッシュ(アメリカ)に逆転TKO負けを喫して以来、半年ぶりの再起だった。

 その勢いで12月29日の『UFC155』では、秋山成勲を破った強豪アラン・ベルチャー(アメリカ)に勝利。連勝した勢いで、3月3日の『UFC JAPAN』に日本の切り札として出場する。

 先日、UFCはアメリカのスポーツ記者28名による投票で作成した公式ランキングを発表した。日本人選手として、岡見は唯一ランキング入りを果たしている(ミドル級4位)。その一報を耳にしたとき、岡見は素直にうれしかったと振り返る。

「でも、一戦一戦、闘うごとにランキングは変動しますからね。改めて次の試合が大事だなと気持ちを引き締めました」

 ランキングが証明するように、岡見はUFCでもっとも評価の高い日本人ファイターだ。現地での知名度は高く、ラスベガスのメインストリートを歩けば瞬(またた)く間にファンが群がってくる。しかし、「日本でももっと有名になりたい」という欲はまったくといっていいほどない。

「さすがに以前に比べたら、東京の街を歩いていても声をかけられる機会は多くなりましたけどね。でも、そんなことよりUFCをもっと日本に根付かせたいし、MMA(ミックスド・マーシャルアーツ/総合格闘技)全体をもっと盛り上げたい。そういう気持ちの方がはるかに強いですね」

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