2012.08.22

【ボクシング】48年ぶりの金メダリスト。
村田諒太が興味を抱く対戦相手とは?

  • 原 功●文 text by Hara Isao
  • photo by AFLO

ボクシングの新たな歴史を作った村田諒太。金メダリストの次なる目標とは? ボクシングでは、東京大会のバンタム級・桜井孝雄以来となる五輪金メダルを獲得した村田諒太。48年ぶりの快挙だが、同時にこの金メダルは『ミドル級での優勝』という点に、ひと際高い価値がある。

 アマチュアボクシングのミドル級は、75キロが体重のリミット。それは欧米人の平均的体格と合致しており、古くからミドル級の選手層は世界的に厚いことで知られている。同時に「東洋人には手の届かない階級」と言われ、現に120年近いプロのミドル級史で世界を制した東洋人は、竹原慎二とフィリピン人選手の2名のみ。過去の歴史がそれを裏付けている。

 歴史的快挙を成し遂げた村田とボクシングとの出会いは、中学生までさかのぼる。

「何かやりたいことはないのか?」

 そう聞く先生に、髪の色を茶色に染め、ケンカに明け暮れていた少年は、「ボクシング」と答えた。それが始まりだった。アマチュア高校界では名の知れた強豪・南京都高校に進み、ここで「人生の師」と仰ぐ武元前川(たけもと・まえかわ)氏と出会い、その素質が開花した。

 こんな逸話が残っている。あるとき村田が後輩に鉄拳を振るっていると、武元先生は村田を呼びつけて諭(さと)した。

「おまえは他人とは違う能力を持っている。その拳は正しいことに使ってこそ価値があるんだぞ」