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【ボクシング】注目はミドル級・村田諒太。
44年ぶりの五輪メダルなるか? (2ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao
  • photo by AFLO

 ところが今回は、20年ぶりに下記の4選手が出場権を獲得した。

●フライ級/須佐勝明(自衛隊体育学校)
●バンタム級/清水聡(自衛隊体育学校)
●ウェルター級/鈴木康弘(自衛隊体育学校)
●ミドル級/村田諒太(東洋大学職員)

 左フックの上下打ちが巧みな須佐、北京に続き2大会連続出場の長身サウスポーの清水、足さばきと懐(ふところ)の深さに定評のある鈴木、そして馬力と強打が魅力の村田と、経験豊富な個性派が揃った。ボクシング選手団のチームリーダーを務める山根昌守氏は、「これまでの日本は軽量級が多かったが、今回は重量級もふたりいるのが特徴。メダル獲得がノルマ」と話す。

 メダル最有力候補はやはり、世界選手権銀メダルの村田だ。一度は現役を退きながら戦線復帰を果たした26歳は、リングを離れれば一社会人であり、妻子のある家庭人でもある。ボクシングを始めて13年、世界選手権よりも輝かしいメダルを、ロンドンで首に下げることができるのか。その問いに対し、「金メダルを獲れるかと聞かれて、銀メダルしか獲ったことのないボクが『ハイ』と答えても説得力がない。でも、金メダルを獲る可能性はあるし、そのプランもある」と、自信を口にする。

 日本のアマチュアボクシングは、1960年ローマ大会で田辺清がフライ級銅メダル、1964年東京大会で桜井孝雄がバンタム級金メダル、1968年メキシコ大会で森岡栄治がバンタム級銅メダルを獲得しているが、以後は不参加のモスクワ大会を含め10大会、メダルから遠ざかっている。また、ソウル大会を最後に、ベスト8入りすらも果たせていない。いまやメダル獲得は、日本ボクシング界の悲願だ。

 これまで圧倒的な強さを誇ったキューバに陰りが見え、アメリカも選手層が薄くなった今、メダル争いはロシアやウクライナ、地元イギリスを中心に展開されると予想されている。本命不在の階級が多いだけに、村田をはじめ、日本の4選手にも大いにチャンスはありそうだ。

「一番輝かしいメダルを獲って出身地の福島県を盛り上げたい」(須佐)
「2回目なので雰囲気は分かっている。出るからには金メダルを狙う」(清水)
「右ジャブで自分の距離を保ち、何色でもいいのでメダルを獲りたい」(鈴木)
「金メダルは手の届かないところではない」(村田)

彼らは新しい歴史の扉を開けることができるのか。4人の戦士に注目だ。

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