東大卒のプロゲーマーときどが10年間トップランナーでいられる理由 (2ページ目)

  • スサキリョウタ●取材・文 text by Susaki Ryota
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

――駆け引きの中で、相手プレーヤーの戦い方がわかる、ということでしょうか。

 はい。トッププレーヤー同士の戦いになると、その選手の背景が見えてくるんです。高いレベルで勝った負けたを経験していくうちに、その選手の生い立ちや経験などのバックボーンがプレーに反映することがわかってきて、それで対応の仕方を考えたりしています。

――ちなみに、ゲームに対する意識が変わってから、ゲーム以外でも変化はありましたか。

 自分がプロだという意識が芽生えてからは、メディア露出に備えて見た目を気にするようになりました。それから、筋トレや空手などの運動もするようになりました。身体を動かすとメンタルも鍛えられるので、ゲーム内で精神的にプレッシャーがかかる場面でも、普段どおりの力を発揮できるようになりました。

――3年前といえば、eスポーツがブームとして取りざたされ始めた時期と重なります。「eスポーツブーム」については、どう感じていますか。

 格闘ゲームはもともとゲームセンターを軸に発展したので、以前はどうしてもアンダーグラウンドな印象があって、人口も徐々に減りつつありました。

 eスポーツブームが来て、トッププレーヤーがプロゲーマーを生業にできるようになった()ので、非常にありがたいと感じています。ブームと同時に競技としてのレベルは格段に上がり、結果を残すのは難しくなりましたが、そのおかげで自分も成長できたと思っています。
※年俸は公表されていないが、チーム所属のトッププレーヤーの年俸は「1000万円まではいかないが、平均的なサラリーマンよりも高い」(国内eスポーツチーム関係者)という。個人選手はスポンサー料、ストリーミングの広告費、大会の賞金などで活動している場合が多い。

――反対に、注目されるようになって息苦しさを感じることはありますか。

 もちろんプロは常に結果を求められるので大変だと思うこともありますが、息苦しさを感じることはありません。

 eスポーツ業界は勝ち負けの世界であると同時に、プレーヤーが自分の個性を発揮できる業界なんです。プロゲーマーはみんな個性が強くて、ゲームを通していろいろな形で自己表現をして、ファンを獲得しています。そういう意味では、eスポーツは受け皿の広い業界だと思います。

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