拡大する「学生eスポーツ」。オンライン高校が上位を席巻する理由 (2ページ目)
「本校に限らず、通信制高校はオンラインでレポートを提出するため、毎日の通学が必要なく、時間の効率がいいと言えます。全日制の学校に比べて、練習に充てられる時間は間違いなく多くなります」
ルネサンスでは授業を受ける時間の指定がないため、オンラインゲームにとってのゴールデンタイムである夜間に練習試合を行ないやすい。授業の時間が最優先の全日制の部活動だと、半分寝ぼけながら朝練をしたり、ボールが見えなくなるまで午後練をしたりするが、通信制ではこの仕組みの違いから、練習の量と質どちらの面でも全日制の部活動にはないアドバンテージを生み出している。
練習の効率性についてはN高とルネサンスに共通性があるが、同じ通信制でもeスポーツの活動においては違いがある。まずN高だが、こちらは練習拠点がないのが特徴だ。
「通信制高校では生徒がスポーツの部活を行ないたくても一カ所に集まって練習することが物理的に難しく、仮に部を作ったとしても学校の運営体制上、既存のスポーツ大会に参加することが難しいという現実もあります」(N高eスポーツ部顧問教職員)
つまりN高にとって、チームの結成、ミーティング、練習試合、大会出場などのすべてをオンラインで完結できるeスポーツは、部活動を行なうための最適解。学校の授業の延長線上で、もっともストレスなくスムーズに部活動ができるスポーツだと言える。
またN高の強さの要因の一つが学校独自の校風だ。
「当校は生徒の得意な分野、やりたいことを最大限支援する方針です。その結果、eスポーツに限らず一芸のある生徒が各分野から集まりやすいと考えています」(N高)
実際、N高eスポーツ部に所属し、今回の決勝大会にも出場する大友美有さんは、eスポーツ部に入りたくて、埼玉の公立高校から転校している。N高は5年前の2016年に設立され、初年度の入学生は約1,500人だったが、大友さんのように「一芸のある生徒」も含めて入学者数が急増し、昨年12月時点で全国に16,000人強の生徒を抱えている。
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