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【男子バレー】髙橋藍がイタリア撃破で見せたたくましさ 「パリの涙」から何が変わったのか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【五輪のイタリア戦を「見返すことはない」】

「大事な1本を決めきれるか。仲間がいてこその得点ではあるんですが......」

 髙橋はそう言って、続けた。

「今回、代表はセッターが代わりましたが、どのセッターが来るかもわからなかったので。まずは自分自身が"どんなボールでも決めきれる力を身につけるのが必要"と思ってやってきました。それは、サントリー(サンバーズ大阪)でのシーズンでもこだわってきたことですね。どんな状況でも決めきることを求めてやってきたし、これからさらに求めていかないといけないと思っています」

 その結果、この1年で髙橋は次元の違う選手になっている。世界トップクラスから世界のトップへ。一流選手は強い相手と戦うことで才能が触発されるものだが、彼は山脈のようにそびえるイタリアのミドルブロッカーを相手にすることで、インスピレーションを得たようだった。対策されると、たいていは勢いが失われるものだが、髙橋は技を改善させた。

「(試合後半は)相手の高さがあって、自分も疲れが出たのか、打点が下がっていたので、モニターを使いながら、リプレーでボールがどこを通過していたのか、冷静に分析して。そうやって4セットかけてやってきたことを、あとがない5セット目で出せたかなと。1本を止められた感覚は自分のなかに残るので、次に打点を上げるのか、コースを広げるのか、うまく対応しながら......」

 髙橋の才能はその適応力にある。ただ、不思議なほど試合後には引きずらない。おかげで、余計な迷いなく次の戦いに挑めるのだ。

 昨年行なったインタビューで、髙橋とパリ五輪の話をしたことがあった。

――パリ五輪では敗退後、コートで涙を流す姿がありました。あれ以来、泣いたことは?

 そう質問を向けると、彼はこう答えていた。

「ないですね。オリンピックでしか泣かないと思います。オリンピック出場を決めたときも感情が溢れましたし、本大会でイタリアに負けたときは悔しかったですが......」

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