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【男子バレー】髙橋藍「ロス五輪への1年目? 関係ない」無類の負けず嫌いが「敗退」を語る (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【引き寄せた流れを手放した日本】

 髙橋はコートに流れていた空気を説明している。

「1セット目、向こうのペースのまま失点してしまって......そこは正直、トルコ戦から少しネガティブな雰囲気を引きずっていた選手も多かったと思います。自分は"切り替えないと"という思いだったし、そこでアグレッシブにやっていく。それが自分の強みだと思っていたので。アタック決定率も、サーブも、個人的にベストとは言えないけど、"勝つための数字を出せた"とは思っています。ただ、チームとしてその流れに持っていかないと」

 1セット目終盤、髙橋はもう一度、流れを引き寄せる。自らのサーブで連続ブレイクし、エースも奪って、13-18から16-18まで追い上げた。しかし、チームの勢いは出ず、再び突き放されてしまった。

 2セット目も、髙橋はパイプ攻撃でバックアタックを炸裂させ、7-6と逆転に成功している。それが口火になったのか、エースである石川祐希のブロックポイントが飛び出し、サーブはネットの先にかけて相手コートに落とすようなエースで、10-7としてチームごとリズムに乗ったかに見えた。ところが、カナダに連続ブレイクを許し、10-13と逆転されてしまった。

 2セット目の終盤も、髙橋は19-24と絶体絶命からエースを決めてブレイクし、"サーブで崩し、ブロックディフェンスを優位に粘り、しぶとく得点する"というお家芸を見せて23-24と迫った。ただ、"時すでに遅し"の感もあり、最後まで攻めたサーブはネットに阻まれた。

「あれを前半から出したかったですね。あそこであの形に持っていくことができた、というのは日本代表の力だし、プラス材料でしょうけど......その流れを3セット目につなげないといけなかったと思います。あそこで乗りきれなかったのが、もったいない。どの状況でもあの形を作り出せるように、自分たちが求めていかないといけないし、もっと出せるはずで......」

 髙橋は口惜しそうな表情を浮かべた。

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