石川祐希が語る「世界基準」 ファイナル進出を決めた日本代表に及ぼした影響力とは? (3ページ目)
「僕たちが1セット目、少しミスが多くなって、そこがもったいなかったですね。2セット目、相手のミドル使われ始めて以降は、ブラジルの流れだったなと思います。3セット目はリードしていたんですが、1点を奪われたあと、連続失点したところがあって、外から見ていて、あそこで耐えられたら、とは思いました。すぐに打ちたくなる焦りはわかるんですけど、冷静な判断も大事なって」
石川は「世界」を想定し、はっきりとこう語っている。
「(定位置の)オーバーのトスではなく、(厳しいポジションから)アンダーで上げるようなコート内のシチュエーションで、アタッカーがうまく打ててないところもありました。簡単ではないですが、そこの精度を高めないと。やっぱり、海外のトップ選手はそういうパスもうまく打ってくるので」
彼が持つ「世界基準」こそ、日本の武器だろう。修羅場をくぐり抜けることで、強さは本物になる。たとえ本調子ではなくとも、石川がチームにいる意味は限りなく大きい。なぜなら、世界のトップ選手しか見ていない風景があるからだ。
7月30日から中国で、ネーションズリーグのファイナルラウンドが行なわれる。前々回は3位、前回は2位だった。日本は準々決勝で強豪ポーランドと対戦する。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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