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石川祐希が語る「世界基準」 ファイナル進出を決めた日本代表に及ぼした影響力とは? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【欧州の最前線で戦ってきた賜物】

「(代表は)トスがどれだけ乱れようが、対応してくれる選手がたくさんいて、そこで決めてくれるし、"どうしてほしい"ってことも伝えてくれるので楽しいですね」

 日本ラウンドで、休養した関田誠大に代わり主力で戦ったセッター、永露元稀はそう明かし、石川についてこう言及している。

「石川選手とは沖縄合宿からコンビも細かくやってきました。積極的にコミュニケーションをとってくれるのでやりやすいですね。試合じゃないとできない状況もあるので、そこはやりながら克服していきたいですけど。石川選手は『高さはいいから、(トスの)リズムを出して』と言っていたんですが、このリズムのところで、自分が慣れていないところもあったので......。ただ、試合は上げやすかったですし、彼もしっかり決めてくれました」

 石川は世界の猛者と敵味方となってやっているだけに、図抜けた適応力の高さを見せる。コミュニケーション力も卓抜。味方の力を引き出し、自分の力を最大限まで高められるのだ。

「(永露の)組み立てで、自信を持って打てていました。彼も感覚はわかっていないところはあるはずですが、そこは僕がアジャストしないといけない。トスが上がった以上、僕が決めないと。そのなかで、もっと決められたところもあったし、そこはもう少し合わせていきたいですね」

 石川はそう語り、決して焦っていなかった。ヨーロッパの最前線で戦う自信や経験の賜物だろう。違った価値観、違ったプレーリズムの選手とコミュニケーションをとって、自分のよさを出す作業を日々行なっているのだ。

 7月18日、ブラジル戦で石川は大事を取る形で登録から外れ、チームはセットカウント0-3で完敗している。石川は出場しなかったが、ミックスゾーンで報道陣の質問に丁寧に答えていた。チームを引っ張る意識の高さから戦いを俯瞰し、今後の教訓としているのだ。

「全体的な内容としては悪くなかったと思います」

 石川はそう総括し、こう続けた。

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