SVリーグ男子1年目の個性あふれるルーキー3人に注目 日本代表での活躍にも期待の大器たち (2ページ目)
伊藤吏玖(いとう りく/東京グレートベアーズ)
試合を重ねるごとに強くなっていった伊藤吏玖この記事に関連する写真を見る 水町と同じ早稲田大から東京グレートベアーズへ入団したミドルブロッカー。伊藤吏玖はレギュラーラウンド44試合とチャンピオンシップのクォーターファイナル2試合、今季東京GBが戦った46試合すべてに出場を果たした。
2m超えが揃うミドルブロッカーのなかで、195cmの身長は、特段目を引く高さではない。だが、幼少期から身体が大きく、小学生の頃には「相撲部屋からスカウトがきたこともある」という逸話も持つ。中学時代も高さはずば抜けていたが、バレーボール選手として本格的なキャリアのスタートは地元の東京・駿台学園高校入学後だ。
当時、駿台学園を率いた梅川大介・前監督が「我慢してでもとにかく試合で使い続けようと貫いた」と言うとおり、伊藤は1年時から試合出場の機会を与えられた。その結果、ブロックやスパイクの基礎が育まれただけでなく、組織で動く、戦術遂行能力も磨かれた。
そして現在、東京GBでも状況判断に長けたブロック力で貢献。カスパー・ヴオリネン監督も「チームとして求められる役割を果たす力、しかも継続的に貢献する能力に長けた選手なので信頼して送り出している」と話したように、計算できるミドルブロッカーとして高い信頼を集めた。
出場を重ねてきたことが何よりの成果ではあるのだが、SVリーグの試合数の多さ、リーグ戦の期間は学生時代とは比べものにならない長さだ。常にベストパフォーマンスを発揮するための心身の疲れを口にすることもあった。
「なかなか自分のプレーがうまくいかない時に、追い込んで考えてしまう。切り替えができず、精神的にきついな、と思うことも多くあったし、不安定なプレーにもつながってしまった。経験しなければわからないことがたくさんありました」
コート上ではブロックが決まれば、大きなガッツポーズで喜びを露わにすることもあるが、コートを離れれば常に穏やかで、友人たちが「とにかく優しい」と口を揃えるだけでなく、「むしろ優しすぎるのが欠点でもある」とも加える。相手を叩きのめしてでも勝利をつかみ取る。そんな激しさとは確かに程遠いかもしれないが、SVリーグで重ねた経験と自信は表情にも表われ、シーズン終盤には、より存在感を発揮。東京GBの今季最後のホームゲームでは初のPOMも受賞した。
今季の日本代表登録選手にも選出された、まだまだ伸び盛りのミドルブロッカー。伊藤吏玖の成長曲線に注目だ。
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