ビーチバレー界期待の新星「のあめい」がトップツアーで奮闘 「世界」を見据える若きふたりの可能性 (3ページ目)
試合は第1セットから、ゲーム巧者の中川&坂本ペアがリード。宇都木&森ペアは防戦一方となっていた。中川の風を生かしたサーブに翻弄され、素早いショットで前後に動かされてリズムを失った。
「(序盤から)バタバタしてしまった。(相手は)前後の攻撃が多いのはわかってはいたけど、攻守の切り替えを素早くできなかった」と森。攻撃の軸となるサーブも、風に合わせて効果的に打つことができず、若きペアは反撃の糸口さえ見つけられなかった。結果、第1セットは16-21で落とした。
第2セットに入っても、宇都木&森ペアは状況を変えることができなかった。攻守において相手に動きを読まれて、「攻撃が単調になってしまった」と宇都木。大きな点差をつけられることはなかったものの、常にリードを許して18-21。第2セットも落として、セットカウント0-2で敗退した。
試合後、若いふたりは次のように敗因を挙げた。「風のなかのサーブでミスが多くなってしまい、もったいなかった」と森。宇都木は「ディフェンスの駆け引きも、相手のほうがうまくてハマらなかった」と言って唇をかんだ。風への順応、タイムアウトを取るタイミングなど、経験の差が出ての結果であることは間違いない。
ともあれ、期待の新星ペアは大会を通してツーアタックやジャンプセットなどをトライし続け、さらには強打で勝負しようとする姿勢を崩すことはなかった。思いきりのよさや、プレーの想像力、ゲームの組み立てを考える力など、持っている潜在能力の高さを存分に示して見せた。
そんな彼女たちの視線は、すでに次へ向いていた。ふたりのターゲットである"世界"だ。出場が決まっている6月の『AVCアジアU21ビーチバレーボール選手権(タイ)』を経て、9月に開催が予定されている『2025FIVBビーチバレーボールU21世界選手権』への出場と、同大会での上位進出を目指している。
高校の3年間、ビーチとインドアの二刀流を続け、双方で頂点に立った「のあめい」。彼女たちがこれからの戦いの舞台にビーチを選んだことは、大いに注目すべき点である。春高バレーの優秀選手6人のうちのひとりに選ばれた宇都木は「インドアに未練はない」とキッパリと言う。
「春高の優勝で、私を通じてビーチのことを多くの人に知ってもらえましたし、私がこれから活躍することで、もっとビーチのよさが高校生にも伝わると思っています。この前も『私もビーチを始めました』と連絡をくれた女子高生の子もいました」(宇都木)
ビーチとインドアをつなぐジョイントとなり、世界へ羽ばたこうとしている「のあめい」。そのファーストステップとなる今シーズンのプレーから目が離せない。
フォトギャラリーを見る
3 / 3