【SVリーグ男子】初代王者サンバーズの強さの秘密 スタイルの浸透が個性を輝かせた (2ページ目)
【サーブ&ブロックが両輪になって】
髙橋はチャンピオンシップを前に、そう解説していた。ドミトリー・ムセルスキーやデアルマス・アラインのパワーサーブ、髙橋のショートサーブ、大宅真樹のジャンプフローターサーブ、アレクサンデル・シリフカ、佐藤謙次、甲斐孝太郎の左利き特有の回転をかけたサーブと、相手を幻惑させるのに十分なカードが揃っていた。
一方でブロックも、戦略的に相手を上回っている。
ケガから復活した小野寺は、チャンピオンシップで、オールラウンダーの面目躍如だった。レシーバーと連係し、個人でのブロックポイントだけでなく、レセプション力を高めた。リベロの藤中颯志や髙橋との連係も見事だった。単独だと日本人最高のブロッカーはSTINGSの高橋健太郎なのだろうが、チームとして拾い続けることを優先し、最後は身長218cmのムセルスキーという切り札が効いた。
サーブ&ブロックが両輪になって、サンバーズを羽ばたかせた、と言えるだろうか。決勝でもサーブ効果率でSTINGSを引き離し、ブロック数、レシーブ成功率、アタック決定率でも上回った。チームスタイルが浸透したからこそ、各選手がそれぞれの居場所でやるべきことが整理されていた。自然と、個性が出たのだ。
典型的なのが、左利きミドルブロッカーの佐藤だろう。サーブもクイックも変則的なタイミングが、チームに"引き出し"を与えていた。チャンピオンシップは短期決戦で"ラッキーボーイ"が勝負を分けるが、その点で彼は最大の殊勲者だ。
「チャンピオンシップも、1、2戦目のスタートは鬼木(錬)で、自分は3戦目からで、"出たらやるしかない"と思っていました」
身長196cmの佐藤は、実直な眼差しでそう語っている。準決勝ウルフドッグス名古屋戦の3試合目は、エース2点を含むサーブ効果率18.1%で連続ブレイクに貢献した。
「チャンピオンシップは、集中してサーブを打つことができました。縦で落とすサーブとか、相手が取りづらそうかな、と判断したら、そこで変化をさせて。今シーズンは(小野寺)太志さんがケガしたあと、他の選手がコートに立っていて......ここで自分の出番が来るか、って。使ってもらえてうれしかったし、期待に応えたかったです。なんで、あそこ(準決勝第3戦)で自分をスタートから使うようになったのか、監督に聞かないとわからないですけど」
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