【SVリーグ女子】佐藤淑乃の涙 今季とファイナルを振り返り「これからも成長できる」 (2ページ目)
【「今後は武器を増やすことが大事」】
「マーヴェラスはリズムよくやっている、という感じでした。最初から先手を取られてしまって。1、2セットと個人個人も声が少なく、目を合わせるプレーも少なく、チームプレーでやりきることができませんでした」
1試合目に敗れたあと、佐藤は無念そうに語っていたが、彼女自身、本来の出来ではなかった。劣勢のチームを何とかしようとボールを呼んだが、スパイクが決まらない。たとえば2セット目、6-10と離されたところで「もう一回、もう一回!」とトスを呼んだが、渾身のスパイクも止められていた。最大出力の強烈なサーブは会場をどよめかせたが、これもうまく拾われてブレイクを奪えなかった。
「決勝の舞台を楽しみにしていました。気持ちは前向きで、強気だったと思います。でも、プレーがついていかず......熱くなりすぎたかもしれません。ブロックは、自分の前にでかい選手2枚がくるのはわかっていて。自分の癖や強みを全員がわかっているなか、レギュラーシーズンでできるようになった"引き出し"を全部出したかったのですが......。自分のサーブでブレイクを取れたら、チームにはよい流れになるのですが、相手も何が何でも1回で切ってきて」
2試合目も悪い流れを断ちきれなかったが、佐藤のスパイク決定率は前日よりも上がっていた。15得点は両チームを通じて最多だった。スパイク1本が外国人顔負けの迫力で、彼女なしで決勝まで辿り着けなかったはずだ。
「1年目で決勝の舞台を経験させてもらったこと、チームメイトに感謝です」
佐藤は関係者からティッシュを受け取り、鼻をかんでからシーズンを総括している。
「今シーズンを通じて、常に自分の前に外国人選手を中心に高いブロッカーが待っているなか、その高さに負けず、ブロックを利用することを武器にすることはできたかなと思います。今後は、自分の武器をひとつからふたつへ、ふたつから三つへとどんどん増やすのが大事で、前衛のオフェンスだけでなく、サーブでも、どんなところでも点を取れるのが必要になってくるかなと」
女王の栄光を逃したことで、むしろ佐藤の強さは増すかもしれない。
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