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【SVリーグ男子】初代王者に向けて STINGS愛知の名司令塔・関田誠大が上げるトスとは? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【同じ動作でトスを上げる】

 STINGSのもうひとりのセッターである道井淳平が、関田について話していたことがあった。

「関田さんと一緒なのは、とても刺激になっています。いろいろ聞いて、学べるので。ほかのセッターの映像も、"どういう動作で上げているか"を確認するために見るのですが、関田さんは違いますね。いつも同じタイミングで入って、同じ動作でトスを上げる。だから相手は(どこに上がるかわからず)反応できない。同じセッターとしても尊敬しますよ」

 ほかのセッターに話を聞いても、関田は別格だという。

「フィーリングですね」

 関田自身は、自身のセットアップについて淡々と表現している。

「(たとえば)宮浦選手がバックから入ってきたら、その入り方を見て、適当にピュって(トスを)上げているだけなので。選手の高さをイメージしながら、ここに入るだろう、って。決まっているわけではない」

 感覚的なものだけに、相手は論理的対応が難しい。ことごとく裏をかかれる。そして次々と打ち込まれるスパイクに心を砕かれるのだ。

 昨年10月、関田にロングインタビューしたことがあった。

「セッター人生で最高のセットアップは?」という問いに対する答えが彼らしい。

「ないです。アタッカーが気持ちよく打ってくれたら。それがセッターの一番求めるところで、まずは打たせないと」

 彼は、できる限りバレーを単純化しているのだろう。トスのたび、無限の選択肢から最善を選択する。難しいことを簡単にしているのだ。

「セッターとして、"うまくなりたい"という向上心はあります」

 関田はそう言って、核心的な話をしていた。

「"勝たせられるセッター"を突き詰めていきたいですね。勝つ方法はいろいろあると思うんですけど......外国人ひとりに頼るのではなく、いろんな選手を使えるのが自分のスタイル。そこを突き詰めて勝ちたい。それで勝てるかは別だし、外国人に頼っても勝って、みんながそれを求めるのはそれでいいけど......自分がやりたいことをやって勝ちたいです」

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