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【ハイキュー‼×SVリーグ】NEC廣田あいが今でも覚えている古賀紗理那のひと言 『ハイキュー‼』では音駒の監督の言葉が「腑に落ちる」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 ただ、高校時代はコロナ禍に翻弄された。夏の練習はマスクが必要で、顔に張り付き、絞ると汗がポタポタとこぼれた。

 高校2年時は半年間以上、休部状態だった。個人的に開放されている体育館を探し、兄と船橋の施設に行ったりした。また、同じ東京の八王子実践高校の選手とは親しく、泊りがけで練習しに行ったこともあった。

「でも、春高バレーはいい思い出がなくて......。当時は"春高"の文字を見るだけで嫌でした。高1では予選1位でしたが、本番前に大きな捻挫をしてしまって。高2では出場できましたが、1回戦で敗退。高3では予選で、あと一歩のところで負けてしまいましたし」

 ただ、才能自体は関係者の間で高く評価されていた。高3に上がった時点で、複数のチームからオファーが来ていたという。そのひとつがNECだった。サイドとしての跳躍力や打点の高さ、将来性が高く買われた。

 そして、日本代表でも絶対的エースだった古賀紗理那というスーパースターとチームメイトになっている。

「紗理那さんはオーラが違いましたね。トップの選手とやれる機会はなかなかないし、一緒にいるうちに学ぼうと思いました。私が人見知りで、半年以上ほとんど喋れなかったんですけどね(笑)。でも、聞いたら絶対に答えてくれるし、アドバイスももらえて、『すごくバレーについて考えているんだな』と思いました」

 1年目に、一緒にコートに立ったことを覚えている。ルーキーの廣田は、目の前のことで精いっぱいで、試合中に声をかけられても反応できなかった。その日のミーティング終了後、古賀に「一個、聞いていい? 試合中、なんで返事しないの?」と言われてドキっとした。口ごもりながら、「周り見えなくなっちゃって」と説明したが......。

「『聞こえているなら返事をしてほしい』と言われました。最初は怖かったです。でも、"自分はコートで視野が狭くなりやすい"という大事な気づきになりました。それは今も覚えています」

 そう振り返った廣田は、進むべき道が見えている。

「自分の持ち味は爆発的オフェンス。一本のスパイクで勢いをもたらす、流れを変えられる選手になりたいです。地道に細かいプレーでチームを支えるタイプではないので、"この一本を絶対決める"というところを見せられるように」

 苦難を乗り越えてきた彼女の覚悟だ。

【廣田あいが語る『ハイキュー!!』の魅力】

――『ハイキュー‼』、作品の魅力とは?

「試合までの過程、お互いの会話の感じとかも、『こういうことあるな。わかるな』って思いますね」

――共感、学んだことは?

「(春高の烏野vs稲荷崎で)田中(龍之介)がなかなか決められず、『下を向いている暇はあるのか』というシーン。自分もレフトで、苦しい場面でもトスが上がってくるし、百発百中決められる選手はいないんですけど、『ここは決めたい』って時に決まらないと、すごいストレスになる。"決まらずに苦しんでいる"って周りが感じているのも嫌なんですよ。いつも明るい田中でもそうなんだって思いました」

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