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西田有志、髙橋藍...SVリーグ初のオールスター戦で見せたそれぞれの「バレー愛」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【楽しさを演出し続けた髙橋藍】

 一方、パリ五輪代表ミドルブロッカー、山内晶大(大阪ブルテオン)もクイックやサーブでクオリティの高さを見せた。同じく代表のオポジット、西田有志(ブルテオン)は強烈に左腕を振り抜いて、ブロックアウトのボールは高く跳ね上がった。世界有数のリベロ、山本智大(ブルテオン)は、観客席に飛び込みながらボールを追い、「拾う」意地に歓声が巻き起こった。さらに192cmの長身セッター、永露元稀(ブルテオン)も空の王者の如きセットアップを披露した。

 彼らブルテオンの選手たちは、首位に立つ強さを顕示したと言える。コートに立った選手は、それぞれの持ち味を披露していたが、コートに立てなかった選手たちも、傍観者にはならなかった。

「盛り上げたいな、とは思っていました。ただ、おふさげが過ぎるとケガするし、そういうのは避けたいな、と。精一杯、ああいう形でやりました」

 そう振り返った髙橋健太郎(ジェイテクト)は、試合には欠場するも、審判台に立ってレッドカードを連発するなどして、観客を笑わせた。

 また、髙橋藍(サントリーサンバーズ大阪)も大事を取る形で出場は取りやめた、昨シーズンからのケガを押してのプレーで、再発防止のためにも休養が必要だった。しかし、彼を目当てにしていたファンも少なくなく、会場に登場して"できる限りのサービス"を心がけていた。

「髙橋藍のタオルやボールを持っている方、手をあげてください!」

 コートからスタンドを見上げた髙橋がマイクで呼びかけると、いっせいにボールやタオルが掲げられた。

「最高です!」

 その光景を目にした髙橋は満足げに叫び、盛り上がりを煽った。メディアでの露出が最も多いバレー選手だけに、他の選手たちよりも手慣れていた。

「明るい未来をつなげていきたい」

 髙橋はそう言って、最後は「インスタグラマー」と自らを称し、エクストラな楽しさを演出し続けた。

 もっとも、髙橋の真骨頂はコートでのプレーにある。人並外れた運動神経とセンスで、タイミングをずらすスパイクはワールドクラス、インナーに急角度で打ち込む一撃やバックアタックも代名詞。そしてレシーブも堅牢で安定感があり、トスもフェイクセットのようなトリッキーさも合わせ持ち、いわゆる最高のオールラウンダーだ。

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