髙橋藍の進化をライバルたちも称賛「またひとつレベルアップしている」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「またひとつレベルアップしている」】

 その表現は、実に生々しかった。今やどのチームも、どの選手も、髙橋の一挙手一投足を見守っている。イタリア帰りで、パリ五輪で激しく戦った、若き英傑の弱点はないか。

「(髙橋は)間違いなく、チームの軸となる選手だと思います」

 サントリーのセッターで、昨シーズンのMVPである大宅真樹は、そう断言しながらこう続けた。

「(髙橋と)コンビネーションを深めるために、コミュケーション取りながら。今日(前日の試合)も、(髙橋)藍の好きなトスを探りながらやっていました。対応力のある選手なので、"ある程度のところに上げたら決めてくれる"っていう安心感はあるんですけど。そのあたりの精度は上げていかないといけないと思っています」

 まだ手探りなのだろう。ただ、現時点で十分に脅威となっていた。4日の試合で髙橋はオープントスをクロス、ストレートに打ち分け、バックアタックで強烈な一撃を叩き込む。とんでもないレベルだった。

 一方で翌日、髙橋など主力を温存したサントリーは、前日1-3で勝利した反撃に遭い3-1で敗れている。スパイクでも、ブロックでも、レシーブでも、フォローでも、そしてサーブでも......髙橋不在の影響は明白だった。

「すべてのスキルのレベルが高いし、チームを鼓舞する姿も......高校、大学時代と違って、またひとつレベルアップしているんだな、と思いました」

 髙橋と学生時代からのライバル、ウルフドッグスの水町泰杜の言葉には説得力がある。

「パリ五輪後、(髙橋は)どう変わったのか......うーん、勝負所の強さですかね。大事なところで"攻めていこう"という姿勢はもともとあったと思うんですけど、(点差が)競っている時だけじゃなく、どんな場面でも1点に対する執着を感じるようになりました。1点にこだわる姿勢、そこを強い意識でやっているんじゃないかなって。最初からすごかったものが、磨きがかかっていますね」

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