パリオリンピック女子バレー 古賀紗理那も「チグハグだった」と振り返った、日本が発揮できなかった強化ポイント (2ページ目)

  • 坂口功将●文 text by Sakaguchi Kosuke

【強化ポイントの「精度」にほころび】

 だが、本番では厳しい戦いを強いられた。プール戦初戦の相手は、身長203cmのオポジット、マグダレナ・スティシアクを攻撃の軸とするポーランド。強力な大砲を擁する点では、日本にとってはネーションズリーグ決勝で敗れたイタリアと同じ系統のチームだ。

 眞鍋監督が対イタリアのキーポイントとしても挙げていた「大砲以外のアタッカーのスパイクを封じる」ことが必要。その点に関して、第1セットではスティシアクの強打を浴びながらも、効果的なサーブで相手を崩し、セットを先取することに成功した。

 しかし第2セットに入り、ポーランドが身長200cmのミドルブロッカー、アグネシュカ・コルネルクのクイックを多用してリズムを作ると、形成は一気に逆転した。高さに劣る日本はブロックで後手に回り、やがてスティシアクや、アウトサイドヒッターのナタリア・メンジクがサイドからしっかりと得点。また、攻めてもコルネルクに第4セットだけで4本、計8本のブロックポイントを許すなど決定打を奪えず、セットカウント1-3で黒星発進となった。

 続く第2戦はブラジル。この3年間で、2022年世界選手権、2023年パリ五輪予選、そして今年のネーションズリーグでいずれもフルセットの激闘を演じた"宿敵"ともいえる相手だ。

 だが、今大会のブラジルはまったく違う姿を見せ、日本のサーブに対していっこうに崩れない。日本にとって苦しい展開が続き、第2セットから林琴奈と井上愛里沙、第3セットは荒木彩花を開始時から起用するなど突破口を見出そうとするが、ストレートで敗れる結果に。「総力戦」とは響きはいいが、それは最適解を見出すまでの苦悩とも言える。終わってみれば、古賀紗理那の10得点がチーム最多かつ唯一の2ケタ得点となった。

 続くケニア戦で日本はストレート勝ちを収めたものの、セット率の差で他グループの3位チームを下回り、全体9位。メダル獲得への道のりは、ここで潰えた。

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